1976年にフォード・モーター(フォード・ヨーロッパ)初のハッチバック・コンパクトカーとしたデビューした「フィエスタ」は、1983年のフェイスリフトでMKⅡに改良された後、1989年のフルモデルチェンジによりMKⅢに移行しました。MKⅡからボディサイズが若干拡大されると共に、新たに5ドアハッチバックが設定されました。
ホイールベースも延長
ボディタイプは3ドア/5ドアの乗用モデルの他に、先代に引き続き3ドアのパネルバンもラインナップされました。スタイリングはMKⅡよりも洗練された雰囲気に変貌すると共に、Cd値0.35の優れた空力特性を実現していました。ボディサイズは全長3,745mm×全幅1,631mm×全高1,321mmで、MKⅡから全長が33mm、全幅が46mm拡大されました。
又、ホイールベースは一気に156mm延長され2,446mmとなりました。駆動方式はFFを踏襲し、エンジンは当初、ガソリンは先代からキャリオーバーされた1.1L直4OHV(最高出力50hp/55hp)、1.3L直4SOHC(最高出力60hp)、1.4L直4SOHC(最高出力71hp/73hp)のシングルキャブレター仕様と、燃料噴射化された1.6L直4SOHC(最高出力103hp/110hp)が用意されました。
一方ディーゼルは、先代の1.6L直4SOHCに代わり1.8L直4SOHC(最高出力60hp)が用意されました。組み合わせられるトランスミッションは、先代同様4速/5速MTとCVTでした。サスペンション形式は、フロント:マクファーソンストラット式/リア:トレーリングアーム式が踏襲され、ブレーキ形式もMKⅠ/MKⅡ同様全車フロント:ディスク式/リア:ドラム式でした。
ホットハッチを追加
当初のトップグレードは、1.6Lエンジン搭載の3ドア「XR2i」でした。そして翌1990年、リアスポイラーやレカロシート、専用の足回りなどが備わる3ドアボディに、1.6L直4SOHCガソリン燃料噴射ターボエンジン(最高出力133hp)を搭載するホットハッチ「RSターボ」が追加されました。5速MTを介しての動力性能は、最高速度209km/h・0-60mph加速7.9sを誇りました。
しかし2年後の1992年には早くもカタログ落ちし、代わって1.8L直4SOHC16Vガソリン燃料噴射NAエンジン(最高出力128hp)を搭載し、最高速度198km/h・0-60mph加速8.3sの性能を持つ「RS1800」が設定されました。又、同エンジンのデチューン版(最高出力105hp)を搭載する標準的なモデル「1.8 16V」もラインナップされました。
1995年にフィエスタはMKⅣに移行
次いで1995年にフェイスリフトが実施され、フロント廻りを丸みを帯びた造形に一新したMKⅣに移行しました。同時にガソリンエンジンのラインナップが見直され、1.1Lエンジンに代わり1.25L直4DOHCエンジン(最高出力75hp)が設定された他、1.4LエンジンがDOHC16V化され最高出力が90hpに向上しました。又、1.8Lエンジンはカタログ落ちしました。
そして2002年にフルモデルチェンジが実施され、MKⅤに移行しました。2代目MKⅢ/MKⅣは、4代続くフェイエスタの中で唯一日本市場への正規輸入が見送られたモデルでした。