ランチアは2003年のジュネーブ・ショーで、1996年に登場した「Y(イプシロン)」の後を継ぐコンパクトカー「イプシロン」を発売しました。車名がローマ字の一文字から変更されると共にデザイン路線も変わり、雰囲気が一新されました。同時に、先代以上にラグジュアリーさが追求されたモデルとなりました。
ツートンカラーを設定
ボディタイプはY同様3ドアハッチバックのみの設定で、デザインは同じく社内のデザインセンターにより手掛けられました。Yが斬新なスタイリングを特徴としたのに対し、イプシロンは1930~1950年代に掛けて生産された小型セダン「アルデア」をモチーフとするクラシカルで美しいスタイリングに変貌しました。又、「Bカラー」と呼ばれるツートンカラーが設定された事も特徴でした。
ボディサイズは全長3,778mm×全幅1,704mm×全高1,530mmで、Yから全長と全幅が若干拡大されると共に、全高が100mm近く高くなりました。ホイールベースは僅かに延長され2,388mmとなり、車両重量も増加し975~1,045kgとなりました。サスペンション形式は、フロントはY10と同様のマクファーソンストラット式を踏襲し、リアはトレーリングアーム式からトーションビーム式に変更されました。
エンジンはディーゼルも用意
駆動方式は引き続きFFのみの設定で、エンジンは当初、1.2L直4SOHC8バルブ(最高出力60ps/最大トルク10.4kgm)、同16バルブ(最高出力80ps/最大トルク11.6kgm)、1.4L直4DOHC(最高出力95ps/最大トルク13.1kgm)のガソリン3種類と、1.3L直4DOHCディーゼルターボ(最高出力69ps/最大トルク18.4kgm)が用意されました。
トランスミッションは、1.2L車には5速MTが、1.4L車には6速MT/5速ATが、1.3Lディーゼル車には5速MT/5速ATが組み合わせられました。この内「D.F.N」と名付けられたATは、アルファロメオの「セレスピード」から進化したシングルクラッチ式AMTでした。一方インテリアは、Y同様のセンターメーター式を踏襲しながらも、奇抜さが影を潜め上品なデザインに変貌しました。
そして2006年にマイナーチェンジを受け、フェイスリフトを含む内外装の変更と共に、オートエアコンの標準化やオーディオシステムの仕様向上などが行われました。同時に1.2L16バルブエンジンがカタログ落ちし、代わって1.4L SOHC8バルブエンジン(最高出力77ps/最大トルク11.5kgm)がラインナップに加わりました。更に1.3Lディーゼルエンジンが改良を受け、最高出力が75ps及び90psに向上しました。
そして2011年に、Yから通算して3代目となる新型イプシロンにバトンタッチして生産終了となりました。日本市場には、左ハンドル仕様の1.4L DOHC16バルブ車と1.3Lディーゼルターボ車が少数輸入されました。