トヨタ自動車のクロスカントリー型SUV「ランドクルーザー」は、その元祖の誕生を1951年1月まで遡ります。1950年8月に警察予備隊およびアメリカ軍からの試作依頼を受け、「トヨタ・ジープBJ型」として完成を見たのが同車の長い歴史の始まりでした。同時期に開発された三菱重工業のライセンス生産モデル「ウイリス・ジープ」や日産自動車の「4W60型」とは、入札を争うライバルの関係にありました。
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トラック用シャシーを流用
シャシーは同社の小型トラック「SB型トラック」と共通のラダーフレームで、組み立て式の幌が備わる1/4トン積みのオープンボディが架装されました。エクステリア面では、乗降用ドアを持たず独立したフロントフェンダーが備わるなど、ウイリス・ジープとは全くの別設計ながらその影響を色濃く受けたプリミティブなデザインが採用されていました。
ボディ・ディメンションは全長3,793mm×全幅1,575mm×全高1,900mm、ホイールベース2,400mmで、三菱・ジープと比較すると全長とホイールベースが遥かに長く、全幅は狭いディメンションが特徴でした。車両重量は、三菱・ジープよりも200kgほど重い1,230kgでした。サスペンション形式は、SB型トラックや三菱・ジープなどと同様の4輪リジッド・アクスル/リーフスプリング式が採用されました。
三菱・ジープよりも強力なエンジンを搭載
駆動方式は三菱・ジープと同様のパートタイム4WDながら、副変速機は備わっていませんでした。エンジンは、当時のトヨタが製造していた1L直4のS型と3.4L直6OHVのB型(最高出力85ps/3,200rpm)のうち、後者が採用されました。このエンジンは、三菱・ジープが搭載していた2.2L直4よりも排気量が大きい分、出力も強力でした。
トランスミッションはトラック用のノンシンクロ式MTが組み合わせられ、最高速度は三菱・ジープを上回る100km/hに達しました。トヨタ・ジープBJ型は、競合モデルとの比較テストの結果優秀な成績を収めたものの、既に実績を持っていた三菱・ジープに敗れ、警察予備隊への採用は叶いませんでした。しかし、その後1953年に民生用モデルとして量産が開始されました。
1954年にトヨタ ランドクルーザーに車名変更
グレードは標準タイプの「BJT型」、無線連絡車の「BJR型」、消防車の「BJJ型」の3タイプが基本でした。車名は当初「トヨタ ジープ」を名乗ったものの、「ジープ」の名はウイリス社の登録商標であったため、程なくして「トヨタ・BJ」に変更されました。さらに翌1954年6月に、「トヨタ ランドクルーザー」へと車名変更されました。
また、この年に消防ポンプ車用として、より強力な3.9L直6OHVのF型エンジン(最高出力95ps/3,000rpm)が採用されました。そして翌1955年8月にフルモデルチェンジが実施され、2代目20系に移行しました。