ランチアは2011年のジュネーブ・ショーで、同社で最小となるBセグメント・コンパクトカー「イプシロン」の新型を発表しました。先代が2003年にデビューして以来8年ぶりのリニューアルで、親会社であるフィアットがクライスラーと経営統合した事もあり、日本や英国にはランチアではなくクライスラー・ブランドで輸出されました。
ボディを5ドア化
ボディタイプは、先代まで継承されていた3ドアハッチバックから5ドアハッチバックに変更されました。しかし、後席用ドアノブがインビジブル処理されるなど、パーソナルカーらしい雰囲気は受け継がれました。スタイリングは兄貴分にあたる3代目「デルタ」のテイストが注がれ、先代以上に丸みを帯びたプロポーションとなった他、フロントグリルはクライスラーのDNAを持つデザインに変更されました。
ボディサイズは全長3,840mm×全幅1,670mm×全高1,510mmで、先代から全長が延長された一方、全幅と全高は縮小されました。ホイールベースは実質的に同一の2,390mmで、車両重量もほぼ同等の965~1,050kgでした。サスペンション形式は、先代同様のフロント:マクファーソンストラット式/リア:トーションビーム式が踏襲されました。
ツインエアエンジンも用意
駆動方式は引き続きFFのみの設定で、エンジンは1.2L直4SOHC「ファイア・ユニット」(最高出力69ps/最大トルク10.4kgm)及び0.9L直2SOHCターボ「ツインエア・ユニット」(最高出力85ps/最大トルク14.8kgm)のガソリン2種類と、1.3L直4DOHCディーゼルターボ(最高出力95ps/最大トルク20.4kgm)、そして1.2Lバイフューエル(ガソリン&LPG)が用意されました。
いずれのユニットにもアイドリングストップ機構が採用されるなど、燃費・環境性能の改善が図られました。トランスミッションは5速MTの他、ツインエア車には「デュアルファンクション」と呼ばれるシングルクラッチ式5速AMTが設定されました。インテリアは、初代モデルにあたる「Y」以来のセンターメーター方式を踏襲すると共に、豪華な仕様も受け継がれました。
日本市場には2012年12月に、正規ディーラーのフィアットクライスラージャパンからクラスラー・イプシロンの車名で右ハンドル仕様の導入が開始されました。グレード体系は標準グレードの「ゴールド」と、16インチアルミホイールやレザーシート、クルーズコントロールなどが備わる上級グレード「プラチナ」の2タイプで、パワートレインはいずれも0.9L直2ターボ+5速AMTの組み合わせでした。
そして2013年4月に、専用ボディカラー「パープルオーロラ」を採用した特別仕様車「パープル」が設定されました。その後2014年12月をもって日本での販売は終了となりました。