マセラティはFIA GT選手権に参戦する為のホモロゲーションモデル「MC12」を開発、2003年のジュネーブ・ショーに初出展し、翌2004年からデリバリーを開始しました。ベースとなったのは2002年に登場したフェラーリのスーパーカー「エンツォ・フェラーリ」で、ロードバージョンは高い走行性能と共に豪華な仕様を併せ持つ点が特徴でした。
グループCカー並みに大柄なボディ
ボディ構造は、CFRPとノーメックスにより生成されるバスタブ型モノコックのリアにアルミ製サブフレームを結合したシャシーに、当時フィアットのデザイナーであったフランク・ステファソンの設計によるカーボン製ボディを架装したものでした。ボディタイプはフィクスドヘッドのエンツォ・フェラーリと異なり、デチャッタブルトップを備えていました。
ボディサイズは全長5,143mm×全幅2,096mm×全高1,205mmで、エンツォ・フェラーリよりも一回り大きく、全長はかつてのグループCカーに匹敵する長大なものでした。又、ホイールベースは150mm長い2,800mmに設定され、車両重量は80kg重い1,335kgでした。サスペンション形式は、エンツォ・フェラーリと同様の4輪ダブルウィッシュボーン式が踏襲されました。
4輪ベンチレーテッド・ディスク式ブレーキのキャリパーは、フロントに6ポッド、リアに4ポッドが採用されました。ホイール&タイヤサイズは、エンツォ・フェラーリと同一のフロント:9.0J×19+245/35ZR19/リア:13J×19+345/35ZR19ながら、タイヤの銘柄はそれと異なりピレリ・P-ゼロコルサが採用されました。
Top Gearでのマセラティ MC12走行シーン
エンジンはエンツォ・フェラーリと共通
ミッドシップマウントされるエンジンは、これもエンツォ・フェラーリと同一の6L V12DOHC48Vのディーポ140型で、11.2:1の圧縮比から最高出力630ps/7,500rpm・最大トルク66.5kgm/5,500rpmのアウトプットを発生しました。このスペックは、エンツォ・フェラーリよりも30ps/0.5kmg低いものでした。トランスミッションは、カンビオコルサと呼ばれる6速セミATが組み合わせられました。
パフォーマンスは最高速度330km/h・0-60mph加速3.8sで、最高速度350km/hを誇るエンツォ・フェラーリには一歩及ばなかったものの、ロードカーとして第一級のものでした。一方インテリアは、ブルーのレザーや新素材のブライトテックス、アルミやカーボンファイバーなどの素材が使用され、ホモロゲーションモデルながらシックな雰囲気に仕上げられていました。
装備面では、カーオーディオこそ備わらないものの、エアコンやパワーウィンドウ、アナログ時計が標準装備されました。MC12のロードバージョンは、25台が製造・販売されました。又、コンペティションモデルは2005年のマニファクチャーズ・タイトル獲得をはじめ、期待に違わぬ戦績を収めました。