BMWは2013年12月、前年に発売した6代目「3シリーズ」をベースとしたハイパフォーマンスモデル「M3」(F80型)を発表、翌2014年に販売を開始しました。2ドアクーペおよびカブリオレが「M4」として独立したため、4ドアセダンのみのラインナップとなりました。先代に対してはエンジンがダウンサイジングされ、動力性能を向上させながら燃費・環境性能の大幅な改善を実現しました。
ボディを拡大しつつ軽量化を実現
スタイリングは、基本的に3シリーズセダンと共通のイメージであったものの、専用エアダム・バンパーやワイドフェンダー、パワードーム付きボンネットフードの採用などにより差別化が図られました。また、ボディの素材に軽量なCFRP(炭素繊維強化プラスティック)が多用されたことも特徴でした。ボディサイズは全長4,671mm×全幅1,877mm×全高1,424mmで、3シリーズセダンよりも全長・全幅が拡大されていました。
先代との比較では全長・全幅が拡大された一方、全高は若干低められました。ホイールベースは2,812mmで、先代から50mmほど延長されました。車両重量は1,520~1,560kgで、先代から100kg以上の軽量化を果たしました。サスペンション形式は、先代同様のフロント:ダブルジョイントスプリング・ストラット式/リア:5リンク式が踏襲され、駆動方式も従来同様にFRのみが設定されました。
3L直6ターボエンジンを採用
エンジンは、先代の4L V8DOHC NAに代わり3L直6DOHCツインターボが搭載されました。スペックは最高出力が11psアップの431ps/5,500-7,300rpm、最大トルクが15.3kgmアップの56.2kgm/1,850-5,500rpmとなっていました。トランスミッションは従来同様6速MTが標準で、7速DCTがオプション設定される点も同一でした。
最高速度は、標準仕様の場合はリミッターの介入により先代と同一の250km/hに留まるものの、オプションの「Mドライバーズパッケージ」を装着した場合は280km/hまで向上しました。また、0-100km/h加速タイムはMT仕様が4.3s、DCT仕様が4.1sで、ともに先代から0.6s短縮されました。一方装備面では、安全運転支援システム「ドライビング・アシスト」や、「BMWヘッドアップディスプレイ」が採用されたことが特徴でした。
その後2016年に仕様変更が実施され、車線変更をサポートする「レーンチェンジ・ウォーニング」が標準化されました。同時に、専用の内外装や専用サスペンション、専用チューニングのDSC(車両安定化制御システム)などが備わるボディに、3Lターボエンジンの最高出力を450ps/7,000rpmに高めて搭載する「コンペティションパッケージ」が設定されました。
日本市場においては、2014年7月に右ハンドル・DCT仕様車の導入が開始されました。次いで2016年4月、仕様変更の実施とともにコンペティションパッケージが設定され、追って9月には専用の内外装が備わる特別仕様車「30ヤーレM3」が30台限定でリリースされました。