フェラーリは2016年3月に開催されたジュネーブ・モーターショーにおいて、4シーター・グランツーリスモ「FF」の後継モデルとなる「GTC4ルッソ」を発表しました。フルタイム4WD方式のドライブトレインを踏襲しながら、空力特性の改善やエンジン性能の強化、新機軸の採用といったさまざまなリファインが施されました。
後輪操舵システムを採用
ボディタイプはFF同様3ドアシューティングブレイクで、エクステリア・デザインは基本的なフォルムを継承しながらも、ルーフスポイラーやリアディフューザーの採用など随所に変更が施されていました。ボディサイズは全長4,922mm×全幅1,980mm×全高1,383mmで、FFから全長と全幅が若干拡大されました。
ホイールベースは2,990mmで、40mmほど延長されました。フロントに搭載されるエンジンは、FF譲りの6.3L V12DOHC NAをベースに圧縮比アップなどの改良が加えられました。スペックは最高出力690ps/8,000rpm・最大トルク71.1kgm/5,750rpmで、FFの最高出力660ps/8,000rpm・最大トルク69.6kgm/6,000rpmから30ps/1.5kgmの向上を果たしていました。
トランスミッションは、FF譲りの7速DCT「F1 DCT」が組み合わせられました。パフォーマンスは、最高速度はFFと同等の335km/hとなるものの、0-100km/h加速タイムは0.3s短縮され3.4sとなりました。ブレーキは、フロントが398mm径、リアが360mm径の4輪ベンチレーテッド・ディスク式が装備されました。
走行性能に係る装備面では、新たに後輪操舵システムが採用されたことが特徴でした。それにともない、FFで採用された「E-Diff(電子制御ディファレンシャル)」、「F1-Trac(トラクションコントロール)」、「SCM(マグネチック・ライドコントロール・サスペンション)」、「ESC(横滑り防止装置)」を統括制御する「4RMシステム」は、後輪操舵システムの制御を加えた「4RV EVOシステム」に進化しました。
ダウンサイジングターボ版を追加
また、ホイール&タイヤはフロントに8.5J×20インチホイール+245/35ZR20タイヤ、リアに10.5J×20インチホイール+295/35ZR20タイヤの組み合わせが装着されました。その後同年9月に開催されたパリ・モーターショーにおいて、FR方式+3.9L V8DOHCターボエンジン+F1 DCTのドライブトレインを採用する「GTC4ルッソT」が発表されました。
アウトプットは最高出力610ps/7,500rpm・最大トルク77.5kgm/3,000-5,250rpmで、GTC4ルッソとの比較では最高出力は80ps劣るものの、最大トルクでは6.4kgm勝っていました。パフォーマンスは最高速度が15km/hダウンの320km/h、0-100km/h加速タイムは0.1s遅い3.5sとなっていました。一方、燃費は欧州複合モードで15L/100kmから11.6L/100kmに向上しました。
さらに、CO2排出量も350g/kmから265g/kmに低減されました。日本市場においては、2016年4月にGTC4ルッソの導入が開始されたものの、GT4ルッソTの導入に関しては現時点で未定となっています。