
フェラーリ SAアペルタ (2010)
フェラーリは2010年に開催されたパリ・サロンにおいて、カロッツェリア・ピニンファリーナ創立80周年を記念した80台限定生産モデル「SAアペルタ」を発表しました。2シーター・フィクスドヘッドクーペ型グランツーリスモ「599」をベースにボディをロードスタータイプに変更するとともに、「599GTO」用の強力なエンジンが搭載されました。
オープン化に伴う重量増は最低限

フェラーリ SAアペルタ (2010)
車名のSAは、セルジオ・ピニンファリーナの頭文字Sとアンドレア・ピニンファリーナの頭文字Aから由来するものでした。エクステリア・デザインは、ベルトラインから下は599と共通のイメージにまとめられた一方、低められたフロントウィンドウや、シート背後に設けられたロールバーとそれに続くエアロダイナミックフィンなどは、このモデルならではの特徴でした。

フェラーリ SAアペルタ (2010)
また、雨をしのぐための簡易的なソフトトップが備わるものの、あくまでもオープン走行をデフォルトとして設計されていました。ボディ・ディメンションは全長4,700mm×全幅1,962mm×全高1,300mm、ホイールベース2,750mmで、599から全長が35mm拡大された一方、全高は36mm低められました。車両重量は1,595kgで、599と同等のボディ剛性を確保しながら15kgの重量増加に抑えていました。
駆動方式はFRを踏襲し、エンジンは6L V12DOHC NAが搭載されました。スペックは最高出力670ps/8,250rpm・最大トルク63kgm/6,500rpmで、599の最高出力620ps/7,600rpm・最大トルク62kgm/5,600rpmから50psの出力向上を果たすとともに、出力特性もより高回転型になっていました。トランスミッションは、シングルクラッチ式6速セミATの「F1スーパーファーストギアボックス」が踏襲されました。
599から加速性能が向上

フェラーリ SAアペルタ (2010)
パフォーマンスは、最高速度は599から5km/h低下し325km/hとなったものの、0-100km/h加速タイムは0.1s短縮され3.6sとなっていました。また、燃費性能はECE基準で17.5L/100kmでした。サスペンション形式は4輪ダブルウィッシュボーン式で、磁気粘性流体制御システムの「マグネトジヘオロジカルダンピング・コントロール」が採用されました。

フェラーリ SAアペルタ (2010)
また、ブレーキはフロントが398mm径、リアが360mm径の4輪ベンチレーテッド・ディスク式で、タイヤはフロントに245/35ZR20サイズ、リアに305/35ZR20サイズが装着されました。機構面では、車両安定化制御システム+トラクションコントロールシステムの「F1トラクションシステム付きCST」や、タイヤ空気圧監視システムの「TPTMS」が装備されました。
販売面では、パリ・サロンで発表された時点ですでに80台すべてが完売しており、多くのファンにとってこのショーが同車を目にする唯一の機会となりました。