フィアットは1978年のトリノ・ショーにおいて、1969年に誕生し旧態化が目立っていた小型乗用車「128」の後継モデルとなる「リトモ」を発表しました。プラットフォームや横置きFF方式のレイアウトなど基本メカニズムが128から踏襲された一方、ボディは「フォルクスワーゲン・ゴルフ」に対抗する為2ボックス型ハッチバックに変更されました。
デザインはベルトーネが担当
3ドアと5ドアが用意されたボディのデザインは、カロッツェリア・ベルトーネにより手掛けられました。そのスタイリングは、如何にもベルトーネらしいシャープなボディラインを特徴とする他、初期型はバンパーと一体化されたフロントグリルや、バンパーに埋め込まれたリアコンビネーションランプなどユニークなディテールを備えていました。
128と同じホイールベース2,448mmのプラットフォームに架装されるボディは、全長3,937mm×全幅1,650mm×全高1,400mmのディメンションで、若干低くなった全高を除き128から一回り拡大されました。サスペンション形式は、フロント:マクファーソンストラット式/リア:ウィッシュボーン+リーフ式による4輪独立懸架が踏襲されました。
搭載エンジン及びグレード体系は、当初1.1L直4SOHC(最高出力60hp)搭載の「60L/60CL」、1.3L直4SOHC(最高出力65hp)搭載の「65L/65CL」、1.5L直4SOHC(最高出力75hp)搭載の「75L/75CL」がラインナップされました。トランスミッションは何れも4速MTとの組み合わせが標準で、オプションで5速MTとフォルクスワーゲン製3速トルコン式ATが用意されました。
カブリオレやアバルト・モデルを追加
そして1980年、1.7L直4ディーゼルエンジン(最高出力55hp)搭載車が追加されました。更に翌1981年には、65系/75系のエンジンのアウトプットをそれぞれ75hp/85hpに高めて搭載する「スーパー75」「スーパー85」と、1.6L直4DOHCガソリンエンジン(最高出力105hp)を搭載する「105TC」、そして3ドア・スーパー85をベースとした2ドアカブリオレ「S85カブリオ」が追加されました。
次いで1981年、最高出力125hpを発生する2L直4DOHCガソリンエンジンを搭載するアバルト製コンプリートカー、「アバルト125TC」がリリースされました。追って翌1982年には大掛かりなフェイスリフトが実施され、フロントマスクとリアエンドがコンサバティブな意匠に変更されました。同時に、60系をベースにエンジンと車体に数々の燃費向上対策を施した「ES」が追加されました。
又、アバルト・モデルは同様のフェイスリフトを受けると共に、ツインキャブレター化により最高出力を130hpに高めた「アバルト130TC」に移行しました。次いで1985年に実施された2度目のフェイスリフトの際には、1.7Lディーゼルエンジンがリニューアルされ最高出力が60hpに向上した他、105TCに代わり最高出力を100hpに下げた「100TC」が設定されました。
更に翌1986年には、1.9L直4ディーゼルターボエンジン(最高出力80hp)搭載車が追加されました。そして1988年、後継モデル「ティーポ」のデビューに伴い生産終了となりました。