1991年に「LTDクラウンビクトリア」の後継モデルとしてデビューした大型乗用車「クラウンビクトリア」は、1998年に初のフルモデルチェンジを受け2代目モデルに移行しました。プラットフォームは「パンサープラットフォーム」がキャリオーバされた一方、ボディシェルはマーキュリー・ブランドで販売される3代目「グランドマーキー」と共通化されました。
パワートレインは先代と共通
ボディタイプは先代同様4ドアセダンのみのラインナップで、スタイリングはエアロダイナミックなフォルムが特徴だった先代から一転し、押し出しの効いたフロントマスクやボクシーなフォルムを採用、コンサバティブなイメージに変貌を遂げました。又、グランドマーキーとはフロントグリルの意匠などが異なっていました。
ボディ・ディメンションは全長5,385mm×全幅1,986mm×全高1,443mm、ホイールベース2,913mmで、先代と実質的に同等でした。一方車両重量は100kg以上増加し、1,830~1,855kgとなりました。駆動方式はコンベンショナルなFRが踏襲され、エンジンも4.6L V8SOHCの「モジュラー・ユニット」が改良を施された上キャリオーバーされました。
先代同様アウトプットの異なる2種類が用意され、標準版が最高出力223ps/最大トルク36.6kgm、高出力版が最高出力238ps/最大トルク38.1kgmとなっていました。いずれも、先代からアウトプット向上を果たしていました。トランスミッションは先代同様、全車4速コラム式トルコンATとの組み合わせで、最高速度は標準版が177km/h、高出力版が200km/hとなっていました。
サスペション形式は、フロント:ダブルウィッシュボーン式/リア:4リンク・リジッド式が踏襲され、ブレーキも先代同様フロントがベンチレーテッド型の4輪ディスク式が採用されました。一方、タイヤは先代よりもワイドかつ扁平な225/60R16が装着されました。安全装備面では、当初ABSがオプション扱いであったものの、1999年モデルから標準化されました。
2003年にアップグレードを実施
当初のグレード体系は、標準版エンジン搭載のベースグレードと「LX」、そして高出力版エンジン搭載の「LX Sport」の3タイプがラインナップされました。その後2003年モデルで仕様変更が行われ、足回りに改良が施されると共にステアリング形式がリサーキュレーティング・ボール式からラック&ピニオン式に変更されました。又、SRSサイドエアバッグがオプション設定されました。
同時にエンジンにも改良が加えられ、アウトプットが標準版は最高出力227ps/最大トルク37.6kgmに、高出力版は最高出力242ps/最大トルク39.7kgmにそれぞれ向上しました。そして2011年を持って生産終了となり、クラウンビクトリアの車名はフォードのラインナップから消滅しました。