初代モデルが1954年にデビューしたフォード・モーターの高級スペシャリティカー「サンダーバード」は、1983年に3年ぶり8度目のフルモデルチェンジを受け、通称「エアロ・バーズ」と呼ばれる9代目モデルに移行しました。従来のボクシーなフォルムを捨て、エアロダイナミクスを追求したエクステリア・デザインが採用された事が最大の特徴でした。
ボディをダウンサイジング
プラットフォームは先代から「FOXプラットフォーム」がキャリオーバーされ、ボディタイプも同様に2ドアクーペのみが用意されました。ボディサイズは全長5,019mm×全幅1,803mm×全高1,351mmで、全高を除き先代からダウンサイジングされました。また、ホイールベースも100mm以上短縮され2,641mmとなりました。
駆動方式はFRを踏襲、エンジンは3.8L V6OHV NA(最高出力110hp)が標準で、オプションで5L V8OHV NA(最高出力130hp)が用意されました。トランスミッションは、3速トルコン式ATが組み合わせられました。サスペンション形式は、先代同様のフロント:ストラット式/リア:4リンク式が踏襲され、ステアリング形式も同様にラック&ピニオン式が採用されました。
歴代初のターボ車を追加
グレード体系は、当初はベースグレードと上級グレード「ヘリテイジ」のラインナップでした。追って同年4月、歴代モデル初のターボモデルとして、2.3L直4SOHC電子燃料噴射ターボエンジン(最高出力142hp)+5速MTまたはOD付4速トルコン式ATを搭載し、リミテッドスリップデフが装備される「ターボ・クーペ」が追加されました。
その後、1984年モデルでヘリテイジに代わるグレード「エラン」が設定され、1985年モデルではインテリアに変更が加えられました。さらに、1986年モデルからハイマウント・ストップランプが標準化されました。次いで1987年モデルではフロントグリルやヘッドランプの意匠が一新されるとともに、リアクォーターウィンドウの面積が拡大されました。
同時にグレード体系も見直され、エランに代わり「LX」と「スポーツ」が設定されました。さらに、ターボ・クーペにはグリルレスの専用フロントマスクが与えられるとともに、エンジンの最高出力がMT仕様は190hpに、AT仕様は150hpに高められました。MT仕様は、最高速度222km/h・0-60mph加速7.5sの性能を発揮しました。
続いて翌1988年にターボ・クーペが廃止され、代わって3.8L V6OHVスーパーチャージドエンジン(最高出力210hp)を搭載し、最高速度225km/h・0-60mph加速7.4sの性能を持つ「スーパー・クーペ」がリリースされました。そして1989年にフルモデルチェンジが実施され、通称「スーパー・バーズ」と呼ばれる10代目モデルに移行しました。
先代モデル:8代目サンダーバード
後継モデル:10代目サンダーバード