ダイムラー・ベンツ(現ダイムラーAG)は1979年、NATO軍に採用された軍用車両「ゲレンデヴァーゲン」をベースとする民生用モデルをリリースしました。4輪駆動車や軍用車両の開発で定評のあるオーストリアのシュタイア・プフ社と共同で開発されたモデルで、ラダーフレームと4輪コイル・リジッド式サスペンションの組み合わせによる高い悪路走破性が特徴でした。
様々なボディタイプを用意
機能優先の無骨なデザインを持つボディは、3ドアキャンバストップ、3ドア/5ドアバン、5ドアステーションワゴン、2ドアカブリオレがラインナップされると共に、2列シート5人乗りのSWB(ショートホイールベース)仕様と、3列シート7人乗りのLWB(ロングホイールベース)仕様が用意されました。ボディサイズは、全長3,950mm(SWB)/4,390mm(LWB)×全幅1,700mm×全高1,960~1,970mmでした。
ホイールベースはSWB仕様が2,400mm、LWB仕様が2,850mmで、車両重量は最も軽いモデルで前者が1,820kg、後者が1,990kgでした。駆動方式はパートタイム4WDで、搭載エンジン及びグレード体系は、ガソリンモデルとして2.3L直4キャブレター仕様(最高出力103ps/最大トルク17.5kgm)の「230G」、同燃料噴射仕様(最高出力127ps/最大トルク19.7kgm)の「230GE」、2.7L直6燃料噴射仕様(最高出力145ps/最大トルク20.9kgm)の「280GE」の3タイプが用意されました。
その他に、2Lを超える排気量に高額な税金が課せられるイタリア市場専用モデルとして、2L直4燃料噴射仕様(最高出力109ps)の「200GE」が用意されました。又、ディーゼルモデルもラインナップされ、こちらは2.4L直4(最高出力72ps/最大トルク14kgm)の「240GD」、2.5L直5(最高出力85ps/最大トルク15.7kgm)の「250GD」、3L直5(最高出力88ps/最大トルク17.5kgm)の「300GD」が用意されました。
日本にはやや遅れて導入開始
組み合わせられるトランスミッションは、4速MTと4速トルコン式ATが設定されました。その後大きな仕様変更もないまま暫くの期間生産が継続された後、1991年にマイナーチェンジを受けW463型に移行しました。日本市場におけるW460型ゲレンデヴァーゲンは、まず1983年に300GD系の並行輸入販売が開始されました。そして1987年1月の正規輸入開始と共に、230GE/230GEロング(AT)、280GE/280GEロング(MT/AT)、300GD/300GDロング(MT/AT)の6タイプが上陸しました。
次いで1988年に廉価版の「230GEアンファング」が追加され、続いて1989年にはグリルガードやオーバーフェンダー、アルミホイール、ウォールナットのインパネなどが備わる特別仕様車「プレディカート230GE/230GEロング」が設定されました。そして1991年8月、W463型300GE/300GEロングにバトンタッチして販売終了となりました。