F1メーカーとして名高いマクラーレン社のロードカー部門として2009年に誕生したマクラーレン・オートモティブは、2014年3月に「MP4-12C」の上位に位置するとともに、実質的にその後継モデルとなるスーパーカー「650S」を発表しました。パワートレインや足回りに改良が加えられ、さらなる走行性能向上を実現したモデルでした。
上級モデルを彷彿とさせるフロントマスクを採用
MP4-12Cをベースに開発され、ボディ構造もカーボンファイバー製の「モノセル」が踏襲されました。ボディタイプも、引き続きフィクスドヘッドボディのクーペと、電動リトラクタブルハードトップが備わるスパイダーがラインナップされました。スタイリングは、ブーメラン型のLEDヘッドランプの採用など、フロントまわりに上級モデル「P1」を彷彿とさせる意匠が取り入れられました。
同時にエアロダイナミクス特性にも改良が加えられ、240km/h走行時のダウンフォースが24%増大したことも特徴でした。ボディ・ディメンションは全長4,512mm×全幅2,093mm×全高1,199mm(クーペ)/1,203mm(スパイダー)、ホイールベース2,670mmで、MP4-12Cから全幅が拡大されていました。一方で車両重量は100kgほど軽量化され、1,330~1,370kgとなっていました。
エンジンはアウトプット向上とともにCO2排出量が低下
サスペンションは、前後左右のダンパーを相互接続するとともに、ノーマル/スポーツ/トラックの3つのモード切替機能が備わる「プロアクティブシャシーコントロール」が踏襲されました。駆動方式もMRを踏襲し、エンジンは基本的にMP4-12Cと共通の3.8L V8DOHCツインターボながら、アウトプットは最高出力が25psアップの650ps/7,250rpm、最大トルクが7.9kgmアップの69.1kgm/6,000rpmへと強化が図られました。
それと同時に、CO2排出量はそれまでより僅かながらも低い275CO2g/kmに抑えられました。トランスミッションは従来同様7速DCTが組み合わせられ、最高速度333km/h(クーペ)/329km/h(スパイダー)・0-100km/h加速3sの性能を発揮しました。MP4-12Cとの比較では、スパイダーの最高速度が1km/h向上するとともに、クーペ/スパイダーともに0-100km/h加速タイムが0.1s短縮されていました。
また、4輪ベンチレーテッド・ディスク式を踏襲するブレーキは、ローター径が従来より拡大されフロントが394mm、リアが380mmとなりました。ホイール&タイヤサイズに変更はなく、フロントに8.5J×19インチホイール+235/35R19タイヤが、リアに11J×20インチホイール+305/30R20タイヤが装着されました。タイヤの銘柄は、専用開発された「ピレリ・Pゼロコルサ」が採用されました。
また、インテリア面では、シートやドア内張りなどがアルカンターラ地に変更され高級感がアップしたほか、Bluetooth対応カーナビゲーションシステムやリアパーキングカメラなどが装備されたことが特徴でした。