F1メーカーとして名高いマクラーレン社のロードカー部門として2009年に誕生したマクラーレン・オートモティブは、2015年3月のニューヨーク・オートショーにおいて、「650S」の弟分にあたる新型スポーツカー「570S」を発表しました。同時に発表された「540C」とともに新たなモデルライン「スポーツシリーズ」の一員として位置付けられ、日常的な扱い易さを重視したモデルに仕立てられたことが特徴でした。
アルミボディを採用
ボディ構造は、素材を650Sのカーボンファイバーからアルミニウムに変更するとともに、乗降性を向上させた「モノセルⅡ」が採用されました。ボディタイプは、オープンボディのスパイダーも用意された650Sと異なり、フィクスドヘッドボディのクーペのみの設定でした。スタイリングは、ブーメラン型のヘッドランプの採用をはじめ650Sのデザイン・テイストが踏襲されました。
一方で、可変式エアロパーツが省かれるなどのダウングレードが施されました。ボディ・ディメンションは全長4,530mm×全幅2,095mm×全高1,202mm、ホイールベース2,670mmで、ホイールベースをのぞき650Sから僅かに拡大されました。車両重量は1,313kgで、650Sから17kgの軽量化が図られました。
サスペンションは、前後左右のダンパーを相互接続した独自の「プロアクティブシャシーコントロール」に代わり、一般的な4輪ダブルウィッシュボーン式が採用されました。ただしアクティブダンパーは備わっており、ノーマル/スポーツ/トラックの3つのモード切替が可能でした。駆動方式は、従来のマクラーレン車同様のMRが踏襲されました。
3.8Lエンジンをデチューンして搭載
搭載されるエンジンは、基本的に650Sと共通の3.8L V8DOHCツインターボながら、アウトプットは最高出力が80psダウンの570ps/7,400rpm、最大トルクが7.9kgmダウンの61.2kgm/5,000-6,500rpmへとデチューンが図られました。それと同時に、CO2排出量はそれまでよりも低い258CO2g/kmに抑えられました。
トランスミッションは650S同様7速DCTが組み合わせられ、最高速度328km/h・0-100km/h加速3.2sの動力性能を発揮しました。この数値は、650Sクーペと比較しても最高速度で5km/h、0-100km/h加速タイムで0.2s劣るのみの優れたものでした。また、ブレーキは4輪ベンチレーテッド・タイプのカーボンブレーキが採用されました。
タイヤはフロントが225/35R19、リアが285/35R20で、エンジンのデチューンにともない650Sよりも若干細いものとなりました。銘柄は、従来に引き続き専用開発された「ピレリ・Pゼロコルサ」が採用されました。また、インテリア面では、収納スペースが新設されるとともにバニティミラーが採用されるなど、使い勝手の向上が図られたことが特徴でした。
2016年3月にはスポーツシリーズの第三弾モデルとして570GTが発表されました。570GTはグラスルーフとグラスハッチが採用され、ラゲージスペースが新規で追加となりました。570Cと比べるとラグジュアリーなGTとしての性格が与えられました。