F1メーカーとして名高いマクラーレン社のロードカー部門として2009年に誕生したマクラーレン・オートモティブは、2011年に公道走行が可能なスーパーカー「MP4-12C」を発売しました。マクラーレン単独開発によるロードカーとしては、1993~1998年にかけて販売された「F1」以来13年ぶりのニューモデルで、それと同様に同ブランドに相応しい高性能車に仕立てられていました。
カーボン製ボディを採用
ボディの構造は、「モノセル」と呼ばれる軽量化が追求されたワンピースのカーボンファイバーセルが採用されました。ボディタイプは、当初は可変式リアスポイラーが備わる2ドア・フィクスドヘッドクーペのみの設定でした。ボディサイズは全長4,507mm×全幅1,908mm×全高1,199mmで、F1との比較では一回り以上拡大されていました。
一方、ホイールベースはそれよりも若干短い2,670mmに設定されました。車両重量は1,435kgで、F1からは300kgほど増加したものの、21世紀のスーパーカーとしては軽量に抑えられていました。サスペンション形式は、F1同様の4輪ダブルウィッシュボーン式を踏襲しながら、新たに前後左右のダンパーを相互接続する「プロアクティブシャシーコントロール」が採用されたことが特徴でした。
V8ツインターボエンジンを搭載
駆動方式はF1同様MRで、エンジンはリカルドと共同開発した3.8L V8DOHCツインターボ(最高出力600ps/7,000rpm・最大トルク61kgm/3,000-6,500rpm)が搭載されました。F1に搭載された6.1L V12DOHC NAと比較すると、最高出力で17ps、最大トルクで1.9kgm劣るスペックとなった一方で、CO2排出量は279CO2g/kmとこの種のモデルとしては低く抑えられていました。
トランスミッションはパドルシフト式の7速DCTが組み合わせられ、最高速度330km/h・0-100km/h加速3.3sの性能を発揮しました。F1との比較では最高速度が57km/h低くなった一方、0-100km/h加速タイムは0.3s短縮されていました。ブレーキはフロントに370mm径、リアに350mm径のローターを持つ4輪ベンチレーテッド・ディスク式が採用されました。
また、ホイール&タイヤは、フロントに8.5J×19インチホイール+「ピレリ・Pゼロ」235/35R19タイヤが、リアに11J×20インチホイール+「ピレリ・Pゼロ」305/30R20タイヤが装着されました。そのほか、操縦性を向上させる機構として、コーナーリング時に内輪側にブレーキを掛ける「ブレーキステア」が採用されました。
スパイダーを追加
その後、2012年にエンジンのアウトプットが最高出力625ps/7,500rpm・最大トルク61.2kgm/3,000-7,000rpmに向上するとともに、同エンジンを搭載する電動リトラクタブル・ハードトップ採用のオープンモデル「スパイダー」が追加されました。スパイダーのパフォーマンスは、最高速度が328km/h、0-100km/h加速が3.1sでした。
そして2014年に実質的な後継モデルとなる「マクラーレン 650S」が発表されたことにともない、クーペ/スパイダーともに生産終了となりました。