ポルシェは2015年12月に、初代986型「ボクスター」から通算して4代目モデルとなる2シーターオープンスポーツカー「718ボクスター」及び「718ボクスターS」を発表、2016年1月27日に前者の、2月1日に後者の予約受付を開始しました。先代981型ボクスターからエンジンがダウンサイジングと気筒数も減りながら、動力性能・燃費の両面で向上を果たしました。
外観をリフレッシュ
従来はフィクスドヘッドボディの「ケイマン」より価格や動力性能面で下位に位置付けられていたものの、718シリーズでは追って発売される予定の718ケイマンよりも上位のモデルとして位置付けられる点も特徴となっています。まず右ハンドル仕様の予約受付が開始され、追って4月に1か月間限定で左ハンドル仕様の受付が行われる予定となっています。
スタイリングは従来のイメージを受け継ぎながらも、フロント廻りやリア廻り、サイドビューの意匠変更によりリフレッシュが図られています。ボディサイズは全長4,379mm×全幅1,801mm×全高1,280~1,281mmで実質的に981型と同等であり、ホイールベースも同一の2,475mmとなっています。車両重量は1,335~1,385kgで、従来から25~35kg増加しています。
エンジンはフラット4ターボを採用
従来同様ミッドに搭載されるエンジンは、981型ボクスターが2.7Lの、同ボクスターSが3.4Lのフラット6NAであったのに対し、718ボクスターは2Lの、同ボクスターSは2.5Lのフラット4ターボとなりました。最高出力/最大トルクは、前者が300ps/38.7kgmで従来から35ps/10.1kgmアップ、後者が350ps/42.8kgmで35ps/6.1kgmアップとなっています。
トランスミッションは、従来同様ぞれぞれに6速MTと7速PDKが用意されます。7速PDK仕様の動力性能は、718ボクスターが最高速度275km/h・0-100km/h加速4.7sで従来から+13km/h・-1s、718ボクスターSが最高速度285km/h・0-100km/h加速4.2sで+8km/h・-0.8sとなっています。一方、燃費性能は従来の7.7~8.8L/100kmから6.9~8.1L/100kmに向上を果たしています。
又、サスペンション形式は従来同様の4輪ストラット式を踏襲、パワーステアリングは従来よりダイレクト感を高める設定に変更されました。その他、車高を低める「ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシステム」がオプション設定される他、同じくオプションの「スポーツクロノパッケージ」には「911カレラ」にも採用されるスポーツレスポンススイッチが追加されました。
一方、インテリア面ではインパネのデザインが一新された他、新世代のインフォテインメントシステム「ポルシェ・コミュニケーションマネージメントシステム」が採用されました。
ポルシェ ボクスター (3代目 981 ’12-’16)
パワートレインの改良などにより走行性能と燃費が向上
1996年に初代モデルがデビューしたポルシェの2シーターオープンスポーツカー「ボクスター」は、2012年3月に3代目となる現行型が発表され、同年6月に日本でも受注が開始されました。電動ソフトトップを踏襲するなど先代から基本コンセプトを受け継ぎながら、パワートレインの改良などにより走行性能が一段と向上した他、燃費・環境性能が改善された事が特徴となります。
エンジンを置換し燃費を改善
スタイリングは、キープコンセプトにより先代から大幅なイメージ変更はなく、ボディサイズは全長4,374mm×全幅1,801mm×全高1,282mmで、先代より僅かに長く低いディメンションになっています。又、ホイールベースが60mm延長され2,475mmとなり、トレッドも若干拡大された事が現行型の特徴となります。車両重量は1,310kg~1,350kgで、先代から25kg程軽量化されています。
4輪マクファーソンストラット式のサスペンション形式やMR方式を先代から踏襲する一方、エンジンは新世代のフラット6に置換されました。ベースモデル「ボクスター」用は先代の2.9Lから2.7Lにダウンサイジングされ、ハイパフォーマンスモデル「ボクスターS」用は先代同様の3.4Lを踏襲します。トランスミッションは、それぞれに先代同様6速MTと7速PDK(DCT)が用意されます。
エンジンのスペックは、2.7Lが最高出力265ps/6,700rpm、最大トルク28.6kgm/4,500rpm~6,500rpm、3.4Lが最高出力315ps/6,700rpm、最大トルク36.7kgm/4,500rpm~5,800rpmで、先代との比較ではボクスターが最高出力が10ps増加しトルクが1kgm減少、ボクスターSが最高出力が5ps増加し最大トルクは同一の数値となっています。又、遅れてデビューした981型「ケイマン」シリーズよりも、10ps/1kgm下回るスペックとなります。
0-100km/h加速タイム及び最高速度は、ボクスターMT仕様が5.8s/264km/h、同PDK仕様が5.7s/262km/h、ボクスターS MT仕様が5.1s/279km/h、同PDK仕様が5s/277km/hとなっています。又、全車にアイドリングストップ機構とエネルギー回生システムを採用し燃費が約15%向上した他、PDK仕様には状況に応じアイドリング状態で走行するコースティング機能が備わります。
2種類の高性能版を追加
そして2014年3月、高性能版の「ボクスターGTS」が追加されました。専用のフロントエンドやテールエンド、専用アルミホイール、専用スポーツシートなどにより内外装の差別化が行われる他、3.4Lエンジンを最高出力330ps/7,400rpm、最大トルク37.7kgm/4,750rpm~5,800rpmまでチューンナップして搭載し、0-100km/h加速タイム及び最高速度はMT仕様が5s/281km/h、PDK仕様が4.9s/279km/hに向上しています。
次いで2015年4月、エンジンを「911カレラ」に搭載される3.8Lユニットに置換した「ボクスター・スパイダー」が発表されました。最高出力375ps/6,700rpm、最大トルク42.8kgm/4,750rpm~6,000rpmのスペックを持ち、6速MTとの組み合わせにより、0-100km/h加速4.5s、最高速度299km/hの動力性能を発揮します。又、リアカウルなど外装が一部変更され、ボディサイズは全長が40mm拡大され全高が20mm下げられています。