ルノーは1969年、1962年にリリースした「8」に代わる新型小型乗用車「12(ドゥーズ)」を発売しました。駆動方式はRRの8に対し、「4」「6」「16」と同様のFFが採用されました。発展途上国でのラインセンス生産も視野に置いて開発された為、メカニズムは保守的で斬新さには欠けたものの、結果的に多くの国で長期間に渡り生産される世界的ヒット作となりました。
リジッド式リアサスを採用
当初3ボックス型の4ドアセダンのみが用意されたボディは、奇をてらったところのないコンサバティブなスタイリングを備えていました。ボディサイズは全長4,240mm×全幅1,635mm×全高1,435mmで、5ドアハッチバックボディを採用する上級モデル「16」とほぼ同等のディメンションでした。一方、2,441mmに設定されたホイールベースは、16よりも200mm以上短いものでした。
車両重量は870kgで、16より100kg以上軽量に抑えられていました。サスペンション形式は、フロントは8と同様のダブルウィッシュボーン/コイル式が踏襲された一方、リアは独立懸架ではなく3リンク/コイル式によるリジッドアクスルが採用されました。エンジンは当初、1.3L直4OHVシングルキャブレター仕様(最高出力54hp/最大トルク9.6kgm)のみが用意されました。
組み合わせられるトランスミッションは4速MTで、最高速度は16と同等の145km/hに達しました。ステアリング形式は他のルノー車と共通のラック&ピニオン式が採用で、ブレーキは16と同様にフロントのみにディスク式が採用されました。当初のグレード体系は、標準グレード「L」と上級グレード「TL」の2タイプが用意されました。
1970年にワゴンや高性能版「ゴルディーニ」を追加
1970年のパリ・サロンにおいて、5ドアステーションワゴンの「ブレーク」と、1.6L直4OHVツインキャブレター仕様エンジン(最高出力111hp/最大トルク14.3kgm)+5速MTを搭載し、4輪ディスクブレーキを装備する高性能版「ゴルディーニ」が追加されました。後者は最高速度185km/hの性能を持ち、外観上はパンパーレスとフォグランプの装備が特徴でした。
次いで1971年、ゴルディーニにバンパーを装着した「ゴルディーニTL」が、翌1972年には1.3Lエンジンのアウトプットを最高出力60hp/最大トルク9.8kgmに高めて搭載すると共に、フォグランプを装備した「TS」が追加されました。更に1973年、3速トルコン式AT仕様の「TR」が、1974年にTSブレークが追加されました。
次いで1975年にフェイスリフトが実施され、内外装デザインが刷新されると同時にゴルディーニ系が廃止されました。そして1978年に後継モデル「18」が発売された事を受け、1980年にヨーロッパでの販売が終了となりました。