ホンダの「フィットハイブリッド」の初代モデルは、2代目「フィット」のハイブリッド型派生モデルとして、2010年10月に発売されました。Bセグメントの実用的コンパクトカーのハイブリッド車としては、「トヨタ・アクア」(2011年12月発売)に先行し業界初となりました。
ボディやプラットフォーム、サスペンションなどの根幹部分は、フィットと同一のものでした。全長3,900mm×全幅1,695mm×全高1,525mmのボディサイズも、フィットFFモデルと同一でしたが、ハイブリッド化に伴い車両重量は1,130kgとやや重くなっていました。外観上はフロントグリルの相違などで、フィットとの識別が可能でした。
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パラレル型ハイブリッドシステムを採用
ハイブリッドシステムは、従来の同社のハイブリッド車と同様、「Honda IMAシステム」と称するパラレル型が採用されました。これは、エンジンとモーターを協調制御し、両方の動力を使用して車軸を駆動する方式で、発進時や加速時など負荷の掛かる場面でモーターがエンジンをアシストするシステムになっています。
同様にエンジンとモーターの動力を併用するハイブリッド方式として、トヨタが「THS」と称して採用しているスプリット型があります。この方式は、エンジンとモーターの関係が対等であると表現出来、総合効率が高いメリットがある一方、メカニズムや制御が複雑になり、製造コストが嵩むデメリットがあります。
それと比較すると、ホンダが採用した方式はエンジンによる駆動が主でモーターは従の関係にあり、モーターが小型化出来る為システム全体が小型軽量になり、製造コストも抑えられるメリットがあります。一方、モーターのトルクが小さい為、それのみによる走行には不向きで、環境性能はスプリット型に一歩を譲る欠点があります。
インサイトと同一のパワートレイン、足回りは仕様を変更
搭載されたパワートレインは、基本的に2代目「インサイト」と同一のもので、最高出力88ps/最大トルク12.3kgmの1.3L直4SOHC i-VTEC i-DSIのLDA型エンジンと、最高出力14ps/最大トルク8kgmのDCモーターの組み合わせでした。但し、モーターのアシスト量を増やすなどのセッティング変更が行われていました。
システムとしての最高出力と最大トルクは98ps/17kgmで、インサイトと同一でした。トランスミッションはCVTで、駆動方式はFFのみが用意されました。サスペンションは、形式はフィットと同一ながら、ハイブリッド化に伴う前後重量配分の変化に対応する為セッティングが変更され、リアにスタビライザーが追加されました。
クラストップの燃費、マイナーチェンジで「RS」が追加に
燃費は30km/Lで、プリウスには及ばなかったものの、フィットで最も燃費の良いグレードの24.5km/Lを遥かに凌ぎ、クラストップの数値でした。2012年5月に、フィットと同時にマイナーチェンジを受け、エンジンのフリクション低減やCVTの改良などにより燃費が更に向上した他、スポーティグレード「RS」が追加されました。
「RS」のエンジンは、排気量を1.5Lに拡大したLEA型で、最高出力と最大トルクは114ps/14.7kgmでした。モーターは他のグレードと同様のものでした。トランスミッションは、ガソリンエンジンの「フィットRS」同様、6速MTと7速マニュアルモード付CVTが用意されました。