大学生時代、1990年頃の話です。ソアラのド中古で青春を謳歌していたある日、衝撃が走った。ロードスターの発表。それまでサンルーフ車の気持ち良さは体験していたけど、オープンカーなんか乗った事もない。当時販売されていた国産のオープンカーと言えば、ファミリアとかのハッチバックベースでのオープンカーとかだったので、オープン専用モデルのユーノス・ロードスターの発表は衝撃的だった。
発表から1年くらい経っただろうか。ついにロードスターは発売され、自分としては初めての新車ディーラーに試乗に行った。見ただけでも衝撃的だったが、乗ってみてさらに衝撃を受けた。あまりにも気持ち良かった。
絶対に買おうと思った。でも新車だと当然高い。どうやって買うか。
新車で買えないなら中古車を買おう!
バイトにせっせと精を出すこと1年、ソコソコの貯金が貯まり、カーセンサーを毎号穴の開くように見た。(※今と違って、カーセンサーは電話帳のような分厚い雑誌の事を指す) 当時の相場では1年落ちで180万円くらいだった。
カーセンサー「最安値」をロックオン!
いよいよ買うぞと心に決め、カーセンサー発売日の早朝に本を買い、速攻で価格順に並んでるページを安い順にチェック。当時千葉に住んでたけど、横須賀の方でロードスター最安値店舗を発見。速攻で在庫確認の電話を入れて横須賀へ旅立った。
実車を見て完全に麻痺状態。判断機能なし
店は峠にある、ちょっとボロっちい中古車店。店員も今思い返せばけっこう胡散臭い(笑)でも、残念ながら「ロードスター買ったるぞ!」という思いが強すぎて、その辺の疑うセンサーは全く働かなかった。というか、7~12年落ちのド中古車を乗り継いできた自分にとって、1年落ちなど疑える余地のないピッカピカのクルマ。ましてや相手はロードスターだ。1年落ち、走行1万キロ位のロードスターを159万円でゲットした。
ロードスターで青春満喫
発売間もないユーノス・ロードスター。ハッキリ言ってモテた(笑)いや、自分じゃなくてクルマがね。けっこうな数の女の子から「乗せて(ハート)」みたいなお誘いは受けた。クルマがね(笑)
そんなこんなで2年間オープンカーライフを満喫した。トラブルなんて何もなかった。あの日までは…。
次の車の試乗でディーラーを訪れた時、悲劇が発覚
大学を卒業し、そろそろ次は新車かな?(ハート) みたいに舞い上がりながら、狙っていたユーノス500を見に行った。「見積もり作りましょうか?ロードスターの査定しますね」と言われ、店内で待っていると、見積もり結果が出た。これまでの中古車が殆ど値落ちで来ていたし、ロードスターも相場の最安値で買った。程度も問題ないし、同じユーノス店だから、下取りは130万円くらいかな。もしかしたら140万円くらいついちゃうかも…。とか思っていた。
「ロードスター、下取り100万円ですね。」
思っていたより、あまりの安値にしばし言葉を失った。「そ、そんなもんなんですかね…?」と質問したら、衝撃の言葉がディーラーマンから告げられた。
「これ、事故車ですね。」
予想していなかった言葉だったので、失神しそうになった。もちろん、自分では事故などしてないし、買った時も事故歴なしで買った。事故車なハズがないっしょ! そうとしか考えられなかった。
トランクのカーペットをめくると、そこには…
査定してくれたディーラーマンと一緒にロードスターに向かい、トランクの中のカーペットをめくった。そこには真ん中に大っきな手術跡のような溶接跡が横一文字に入っていた。
「ここから後ろを切って、新しい部品を溶接してますね~。オカマ掘られちゃったんでしょうね~。」
ロードスターを買う事で舞い上がっていた20代の甘ちゃん大学生は、当然ながらそこまでチェックしていたかった。というか、冷静だったとしても、そこまではチェックできていなかっただろう。
下取りが100万円だったとしても、どうせローンを組むつもりだったので、買えない事は無かったけど、大好きだったロードスターが事故車だった事を知った衝撃が強すぎて、スゴスゴとディーラーを後にした。
当時の後ろからの写真。パッと見歪んでる訳でもなかったし、走行安定性も問題なかった。前向きに考えると、キッチリ直してあったという事か(笑)
教訓:最安値の店舗は気を付けよう
「相場より安い」という事には何らかの理由がある。長期在庫で店舗的に換金する為に安値で売る事もあるので、一概には言えないけど。今だったらネットのカーセンサーで簡単に店舗在庫車の傾向を検証できるので、そういう系統の店は発見しやすいけど。事故歴ありの車を「専門」に扱っている店舗もあります。(注:ただし、今ではちゃんと「事故歴あり」の申告はしてあるから、騙されたって事になる事はあまりないです。)
車は高い買い物なので、くれぐれも「勢い」で買っちゃダメだね。(自分はいまだに出来てないけど。)