スズキ自動車は1970年4月、軽自動車で初となるクロスカントリー型4WD車「ジムニー」を発売しました。ベースモデルとなったのはオート三輪メーカーであったホープ自動車が開発した「ホープスター・ON型4WD」で、スズキが製造権を買い取った上で独自に仕様変更を加え市販化に漕ぎ着けたものでした。
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ラダーフレームシャシーを採用
車体の構造は「三菱・ジープ」などの本格クロスカントリー型4WD車と同様、ラダーフレーム式シャシーに4輪リジッドアクスル式サスペンションを組み合わせたもので、ボディは当初幌トップ・幌ドア仕様のみが設定されました。外観面では、実用本位で無骨なイメージだったホープスター・ON型に対し、遥かに洗練されたスタイリングに変貌していました。
ボディサイズは、全長2,995mm×全幅1,295mm×全高1,670mmという当時の軽自動車規格に準じたものであると同時に、ホープスター・ON型からは全高が100mm近く低く設定されました。ホイールベースはそれより20mm短い1,930mmで、車両重量は20kg軽い600kgでした。サスペンションには堅牢なリーフスプリングが採用され、駆動方式はパートタイム4WDのみの設定でした。
エンジンは当初、同社の軽トラック「キャリー」から流用された空冷2ストローク360cc直2(最高出力25ps/6,000rpm・最大トルク3.4kgm/5,000rpm)が搭載され、トランスミッションは副変速機付きの4速MTが組み合わせられました。又、タイヤは6.00×16インチという大径のものが採用され、235mmの最低地上高と相まって高い悪路走破性を発揮しました。
スズキ ジムニーのCM (SJ10)
M/Cでエンジンを水冷化
そして1972年5月のマイナーチェンジでフロントグリルの意匠が変更されると共に、エンジンが水冷化されスペックが最高出力28ps/5,500rpm・最大トルク3.8kgm/5,000rpmに向上、同時にヒーターが温水式に変更され暖房能力が向上しました。又、新たなボディバリエーションとしてメタルトップ・メタルドア仕様のバンが追加されました。
更に同年7月、ソニーとの共同開発によりカラーテレビとUマチックVCRが装備される「ビデオジムニー」が発売されました。次いで1973年11月の一部改良で灯火類の仕様変更が行われ、1975年2月には従来の3人乗り仕様に加え、対向型のリアシートが備わる4人乗り仕様が追加されました。
新規格に対応しボディとエンジンを拡大
次いで1976年6月、軽自動車規格変更に伴うマイナーチェンジが実施され、全長が3,170mmに延長されると共にエンジンが新開発の水冷2ストローク550cc直3(最高出力26ps/4,500rpm・最大トルク5.3kgm/3,000rpm)に置換され、車名が「ジムニー55」となりました。翌1977年6月には再度のマイナーチェンジが行われ、全幅が新規格の枠一杯の1,395mmに拡大されました。
追って翌7月、水冷4ストローク800cc直4エンジン(最高出力41ps/5,500rpm・最大トルク6.1kgm/3,500rpm)を搭載する海外向けモデルをベースに、国内向けに仕様を変更した「ジムニー8」が発売されました。次いで1978年11月のマイナーチェンジで、フェイスリフトや内装の一部変更と共に幌トップ・メタルドア仕様車が追加されました。
続いて1979年に、装備の充実化をメインとした最後のマイナーチェンジが実施されました。そして1981年5月にフルモデルチェンジが実施され、2代目SJ30型に移行しました。