ボルボ・カーズは1990年、1984年にリリースしたアッパーミディアムモデル「740」の後継モデルとなる「940」を発売しました。内容面では740のビッグマイナーチェンジ版といえるもので、プラットフォームやサスペンションなどの基本メカニズムが踏襲されました。又、同時にデビューした「960」とは搭載エンジンなど一部のみが異なる兄弟車種の関係にありました。
空力特性を改善
ボディタイプは740同様、4ドアセダンと5ドアステーションワゴンの「エステート」が用意されました。スタイリングは740のイメージを受け継ぎながらも、フロントマスクのスラント化やセダンのリア廻りのハイデッキ化など空力特性を改善する為のリファインが施され、Cd値は0.36(※セダンの数値)を実現しました。
ボディ・ディメンションは全長4,869mm×全幅1,750mm×全高1,410mm(セダン)/1,435mm(エステート)、ホイールベース2,770mmで、全長が若干延長された事を除き740と同一でした。サスペンション形式は740同様のフロント:マクファーソンストラット式/リア:5リンク・リジッド式で、4輪ディスク式のブレーキ形式やFRの駆動方式も踏襲されました。
ボルボ最後のFR車に
エンジンは当初、2L直4SOHC NA(最高出力111ps/最大トルク16.1kgm)、2.3L直4SOHC NA(最高出力131ps/最大トルク18.9kgm)、同DOHC NA(最高出力155ps/最大トルク20.7kgm)、同SOHCターボ(最高出力165ps/最大トルク26.9kgm)のガソリンと、フォルクスワーゲン製の2.4L直6SOHCディーゼルターボ(最高出力122ps/最大トルク24.5kgm)が用意されました。
組み合わせられるトランスミッションは、5速MT又は4速トルコン式ATでした。その後1996年に、2.3L SOHC/DOHC NAエンジンに代わり、2.3L直4SOHCライトプレッシャーターボエンジン(最高出力135ps/最大トルク23.5kgm)が設定されました。そして1998年に生産を終了、直接的な後継モデルのリリースはなく、結果的にボルボ最後のFR車となりました。
日本市場においては、1990年9月にセダン/エステートが同時に初上陸を果たしました。導入されたモデルは全てガソリンエンジン+AT仕様車で、初期のグレード体系は2.3L SOHC NAエンジン搭載の「GL」、同DOHC NAエンジン搭載の「GLE」、同SOHCターボエンジン搭載の「ターボ」のラインナップでした。
次いで1993年10月、2.3L SOHC NAエンジン搭載の廉価グレード「ポラール」が追加され、GLEは廃止されました。続いて1994年9月には、GLが廃止された一方でGLEが復活した他、エステートに3列シート7人乗り仕様が設定されました。次いで1995年9月にターボが廃止された後、1996年7月にグレード体系がライトプレッシャーターボエンジン搭載の「タック」「クラシック」の2タイプとなりました。