ボルボ・カーズは1974年秋、中型乗用車「140シリーズ」の後継モデル「240シリーズ」と共に、1968年にリリースした大型乗用車「164」の後継モデルとなる「260シリーズ」を発売しました。安全実験車「VESC」で培った技術の導入により衝突安全性能の向上が図られた他、プジョー、ルノーとの3社共同開発による新エンジンが採用された事が特徴でした。
まず4ドアセダン「264」とワゴン「265」が登場
プラットフォームは一新され、ボディタイプはまず4ドアセダンの「264」と、164には設定のなかった5ドアステーションワゴンの「265」が用意されました。スタイリングは164譲りのボクシーなフォルムを踏襲しつつ、フロントマスクの意匠が一新されました。ボディサイズは全長4,896mm×全幅1,708mm×全高1,435mmで、164から全長が拡大された一方、全幅は若干縮小されました。
ホイールベースは2,640mmで、164から80mm短縮されました。サスペンション形式は、フロントはウィッシュボーン式からマクファーソンストラット式に変更され、リアはトレーリングアーム式が踏襲されました。駆動方式はFRを踏襲し、エンジンは当初2.7L V6SOHCボッシュ電子燃料噴射仕様(最高出力140ps/最大トルク20.7kgm)が搭載されました。
トランスミッションは、4速/5速MTと3速トルコン式ATが設定されました。又、ブレーキは4輪ディスク式を踏襲、ステアリング形式はリサーキュレーティング・ボール式からラック&ピニオン式に変更されました。当初のグレード体系は、264/265共に標準グレード「DL」と上級グレード「GL」の2タイプのラインナップでした。
2ドアモデル「262」「262C」を追加
そして1976年、2ドアセダンの「262」がラインナップに加わりました。更に、DLのエンジンがSUシングルキャブレター仕様のB27A型(最高出力127ps/最大トルク20.1kgm)に置換された他、264に3速ATを装備する最上級グレード「GLE」が追加されました。続いて1977年に262が早くも廃止され、代わって2ドアクーペの「262C」がリリースされました。
全高が1,360mmに低められたボディはカロッツェリア・ベルトーネの手により製造された他、エアコンやパワーウィンドウ、電動ドアミラーなど当時としては豪華な装備が備わっていました。次いで1980年、260シリーズ全車のエンジンが2.8L V6SOHCボッシュ電子燃料噴射仕様のB28E型(最高出力157ps/最大トルク23.4kgm)に置換されました。
そして1981年に262Cの生産が打ち切られ、264/265も翌1982年に後継モデル「760」のデビューに伴い生産終了となりました。日本市場においては、1976年から264の輸入販売が開始され、追って262Cも導入されました。