BMWは1996年、新型2シーター・オープンスポーツカー「Z3ロードスター」を発売しました。同社のこのカテゴリーのモデルとしては、1991年に「Z1」が生産終了となって以来5年ぶりのリリースでした。少量の生産に留まったZ1とは異なり大量生産が行われ、ポピュラーな存在となりました。また、追ってフィクスドヘッドボディを持つクーペが追加されました。
用意されたエンジンは2種類
スタイリングは、スラントノーズや独特な構造のドアを採用するなど前衛的なムードを漂わせていたZ1とは対照的に、冒険を避けたオーソドックスな雰囲気にまとめられていました。初期型のボディサイズは全長4,035mm×全幅1,690mm×全高1,275mmで、Z1よりも幾分大きく、ホイールベースは同等の2,445mmに設定されていました。
サスペンション形式は、フロントにシングルジョイントスプリング・ストラット式、リアにセミトレーリングアーム式が採用されました。駆動方式は同社伝統のFRで、エンジンは当初、1.9L直4DOHC16バルブ(最高出力140ps/最大トルク18.3kgm)と2.8L直6DOHC24バルブ(最高出力193ps/最大トルク28.5kgm)の2種類が用意されました。
組み合わせられるトランスミッションは、両エンジンとも5速MTまたは4速トルコン式ATでした。パフォーマンスは、1.9Lが最高速度205km/h・0-100km/h加速9.5s、2.8Lが最高速度218km/h・0-100km/h加速7.1s(※いずれもMT仕様の数値)でした。ブレーキは全車4輪ディスク式で、さらに2.8L車にはフロントにベンチレーテッド型が奢られました。
また、ステアリング形式はラック&ピニオン式が採用されました。その後1998年に、2.8Lエンジンを搭載する「Z3クーペ」がラインナップに加えられました。さらに同じ年に、ロードスター/クーペに3.2L直6DOHC24バルブエンジン(最高出力321ps/最大トルク35.7kgm)搭載の高性能版「M」仕様が追加されました。
排気量を拡大
次いで翌1999年にマイナーチェンジが実施され、リアフェンダーフレアのワイド化により全幅が1,740mmに拡大されました。同時に、1.9Lエンジンが2L直6DOHC24バルブエンジン(最高出力150ps/最大トルク19.4kgm)に置換されるとともに、フロント・ベンチレーテッド・ディスクブレーキが全車に標準化されました。
続いて翌2000年にもエンジンの置換が行われ、2Lに代わり2.2L直6DOHC24バルブ(最高出力170ps/最大トルク21.4kgm)が、2.8Lに代わり3L直6DOHC24バルブ(最高出力231ps/最大トルク30.6kgm)が採用されました。そして2002年をもって生産を終了、同年に後継モデル「Z4」が発表されました。
日本市場においては、1996年8月にまず限定モデルとして1.9Lエンジン搭載の「ロードスター・アニバーサリー」が導入され、翌1997年1月に同エンジン搭載のカタログモデル(ベースグレード)が発売されました。次いで1998年5月に「ロードスター2.8」が、追って同年9月に「クーペ2.8」が追加されました。
続いて1999年7月にマイナーチェンジ版への切り替えが行われ、ロードスターはベースグレードに代わり「2.0」が設定されました。次いで2000年8月にクーペのグレードが「3.0i」に、同年12月および2001年1月にロードスターのグレードが「2.2i」および「3.0i」に変更されました。