1972年に正式に「Sクラス」の名称が与えられたメルセデス・ベンツのフラッグシップモデルは、1998年に7年ぶり3度目のフルモデルチェンジを受け、通算4代目となるW220型に移行しました。拡大を続けて来たボディサイズが初めて縮小されると共に、先代から最大で200kg近い軽量化が行われ、燃費・環境性能の向上が実現しました。
ボディは4ドアセダンのみに
ボディタイプは2ドアクーペが廃止され、4ドアセダン(標準仕様及びロングホイールベース仕様)のみのラインナップとなりました。スタイリング面では、直線基調で威圧的な雰囲気を醸していた先代から一転し、曲線基調の親しみやすいデザインに変貌しました。ボディサイズは全長5,042mm(標準仕様)/5,158mm(ロングホイールベース仕様)×全幅1,855mm×全高1,444mmで、全ての項目で先代から縮小されました。
同時にホイールベースも短縮され、標準仕様が2,964mm、ロングホイールベース仕様が3,086mmとなりました。サスペンション形式は、フロントはダブルウィッシュボーン式から4リンク式に変更され、リアはマルチリンク式が踏襲されました。又、電子制御式エアサスペンション「AIRマチック・サスペンション」が採用された事がトピックとなりました。
駆動方式は従来同様FRで、欧州仕様の搭載エンジン及びグレード体系は、当初2.8 V6(最高出力197ps/最大トルク27.5kgm)搭載の「S280」、3.2L V6(最高出力224ps/最大トルク32.1kgm)搭載の「S320」「S320L」、4.3L V8(最高出力279ps/最大トルク40.8kgm)搭載の「S430」「S430L」、5L V8(最高出力306ps/最大トルク46.9kgm)搭載の「S500」「S500L」、5.8L V12(最高出力367ps/最大トルク54.1kgm)搭載の「S600L」が用意されました。
安全装備が更に充実
トランスミッションは5速MTが廃止され、全車5速トルコン式ATとの組み合わせになりました。一方インテリア面は、インパネのデザインがそれまでの直線基調から曲線基調に変更され、大きくイメージを変えました。又、安全装備面ではSRS8エアバッグシステムやブレーキアシスト&EBD付ABS、横滑り装置「ESP」が全車に標準化されるなど、更に充実したものとなりました。
そして翌1999年に、3.2L直6ディーゼルターボエンジン(最高出力197ps/最大トルク47.9kgm)搭載の「S320CDI」「S320CDI L」及び4L V8ディーゼルターボエンジン(最高出力250ps/最大トルク57.1kgm)搭載の「S400CDI」「S400CDI L」、並びに5.4L V8ガソリンエンジン(最高出力360ps/最大トルク54kgm)搭載のハイパフォーマンスモデル「S55AMG」「S55L AMG」が追加されました。
Sクラス初の4WD車を追加
次いで2001年、6.3L V12ガソリンエンジン(最高出力444ps/最大トルク75.3kgm)搭載の「S63AMG」が追加され、更に2002年にはSクラス初のフルタイム4WDモデル「S430 4MATIC」「S500 4MATIC」が追加されると共に、S55AMG/S55L AMGのエンジンがスーパーチャージャー仕様となり、アウトプットが最高出力500ps/最大トルク71.4kmgに向上しました。
追って翌2003年には、4WD仕様のエントリーモデルとなる「S350 4MATIC」が追加になりました。そして2005年に6L V12ガソリンツインターボエンジン(最高出力612ps/最大トルク102kgm)を搭載する「S65AMG L」が追加された後、同年9月にフルモデルチェンジが実施され5代目W221型に移行しました。
日本市場における4代目Sクラスは、1998年11月にまずS320/S430/S500/S500Lの導入が開始され、2000年5月にS600Lが追加になりました。次いで2001年4月にS55AMG/A55L AMGが、2002年3月にS63L AMGが、同年11月にS430 4MATICが、2003年10月にS65AMGロングがラインナップに加わりました。そして2005年10月に5代目モデルに切り替えられました。