本田技研工業は2003年2月、カナダにある同社の工場「ホンダ・オブ・カナダ・マニファクチュアリング」で生産される3列シート7人乗り仕様のプレミアムSUV「MDX」の逆輸入販売を開始しました。オンロード/オフロードでの優れた走行性能と共に、快適性や上質感、安全性などが追求されたモデルでした。
新開発の4WDシステムを採用
高剛性化が図られた5ドアボディのスタイリングは、野生動物「サイ」をテーマに低重心と安定感を強調したフォルムが採用されました。ボディサイズは全長4,790mm×全幅1,955mm×全高1,820mm、ホイールベース2,700mmという堂々たる体躯を持ち、車両重量は2トンオーバーの2,030kgに達しました。
サスペンション形式はフロントがマクファーソンストラット式、リアがダブルウィッシュボーン式で、駆動方式は新開発の電子制御可変トルク配分式フルタイム4WD「VTM-4」(バリアブル・トルク・マネージメント4WDシステム)が採用されました。エンジンはホンダ・オブ・アメリカで開発された3.5L V6SOHC VTECガソリンNAのJ35A型で、当初は最高出力260ps/最大トルク35.2kgmのスペックでした。
トランスミッションは、これも新開発された小型・高効率な5速トルコン式ATが組み合わせられました。室内は、モダン建築様式の「サンタフェ・スタイル」をテーマに曲線基調のデザインが取り入れられると共に、木目調インパネや本革インテリアなどが採用されました。グレード体系は、発売当初は「エクスクルーシブ」のみのモノグレード設定でした。
快適装備としては、「リアカメラ付音声認識ホンダ・DVDナビゲーションシステム」や、2列目・3列目シートでTV放送などを視聴出来る「ホンダ・インテグレーテッドモニターシステム」、1列目シートヒーター、デュアルエアコンなどが装備されました。又、安全装備としてi-SRSデュアル&1列目シート・サイドエアバッグシステムや、車両挙動安定化制御システム「VSA」が採用されました。
ホンダ(ACURA) MDXの走行ビデオ 排気音も。
M/Cで廉価グレードを追加
そして2004年2月のマイナーチェンジでフロントグリルや前後パンパーの意匠が変更されると共に、新デザインの自発光メーターが採用されました。同時に、新たにSRSサイドカーテンエアバッグシステムが標準装備された他、ツインサイレンサーの装備によりエンジンのアウトプットが5ps/0.3kgm向上しました。
更に、インテリアをモケットに変更し、シートヒーターやホンダ・インテグレーテッドモニターシステムを省いて価格を下げたベースグレード(グレード名無し)が追加されました。次いで2005年2月に2度目のマイナーチェンジが実施され、オートライトコントロールや雨滴検知式ワイパー、セキュリティアラームが標準装備されると共に、ボディカラーに新色が追加されました。
そして2006年7月に販売を終了、後継車種は発売されず1代限りで同社のラインナップから消滅しました。