ダイムラー・クライスラー(現ダイムラーAG)は2001年、2シーター・カブリオレ「SLクラス」に12年ぶりにして4度目のフルモデルチェンジを実施し、5代目R230型に移行させました。「バリオルーフ」と呼ばれる電動リトラクタブルトップを採用し、ボタン操作のみでカブリオレとクーペの2つのスタイルが楽しめるようになった事が最大の特徴でした。
Cd値が更に低減
スタイリングは、異型ヘッドランプの採用によりフロントマスクのイメージを一新すると共に、先代にも増してエアロダイナミックが追求されたフォルムとなり、Cd値は0.03ポイント低い0.29を実現しました。ボディサイズは全長4,535mm×全幅1,815mm×全高1,298mmで、先代から全長・全幅が若干拡大された他、ホイールベースも45mm延長され2,560mmとなりました。
駆動方式はFRを踏襲し、搭載エンジン及びグレード体系は、当初3.7L V6SOHC NA(最高出力244ps/最大トルク35.7kgm)の「SL350」、5L V8SOHC NA(最高出力306ps/最大トルク46.9kgm)の「SL500」、5.4L V8SOHCスーパーチャージド(最高出力500ps/最大トルク71.4kgm)の「SL55AMG」、5.5L V12SOHCターボ(最高出力500ps/最大トルク81.6kgm)の「SL600」の4タイプが用意されました。
電子制御ブレーキシステムを採用
トランスミッションは5速トルコン式ATの他、SL350には6速MTも用意されました。サスペンション形式は、フロントはストラット式から4リンク式に変更された一方、リアはマルチリンク式が踏襲されました。又、4輪ベンチレーテッド・ディスク式のブレーキには、電子制御ブレーキシステムの「SBC」が採用されました。
そして2004年に、6L V12SOHCツインターボエンジン(最高出力612ps/最大トルク102kgm)を搭載する「SL65AMG」が追加されました。次いで2006年のフェイスリフトでフェイズ2に移行すると共に、SL350のエンジンが3.5L V6DOHC NA(最高出力272ps/最大トルク35.7kgm)に、SL500のエンジンが5L V8DOHC NA(最高出力388ps/最大トルク54kgm)に置換されました。
同時に、両グレードのATが7速の「7Gトロニック」に変更されました。更にSL55AMG及びSL600はエンジンに改良が加えられ、アウトプットが前者は最高出力517ps/最大トルク73.4kgmに、後者は最高出力517ps/最大トルク84.6kgmに向上しました。続いて2008年に2度目のフェイスリフトが実施され、釣り目のヘッドランプが備わるフェイズ3に移行しました。
新たなAMGモデルが追加に
同時に、3L V6DOHC NAエンジン(最高出力231ps/最大トルク30.6kgm)搭載の「SL280」が追加された他、SL350はエンジンの改良によりアウトプットが最高出力316ps/最大トルク36.7kgmに向上しました。又、AMGモデルもラインナップが変更され、SL55AMGに代わり6.2L V8DOHC NAエンジン(最高出力525ps/最大トルク64.2kgm)を搭載する「SL63AMG」が設定されました。
更に、SL65AMGをベースにフィクスドヘッド化及び軽量化を図ったボディに、6L V12エンジンの最高出力を670psまで高めて搭載する「SL65AMGブラックシリーズ」が追加されました。そして2011年に現行R231型にバトンタッチして生産終了となりました。日本市場における5代目SLクラスは、2001年10月にまずSL500が先行発売されました。
次いで2002年7月にSL55AMGが、2003年6月にSL350/SL600が、2004年7月にSL65AMGが追加されました。続いて2006年11月にフェイズ2に切り替えられると同時に、SL500はグレード名がSL550に変更されました。更に2008年5月、フェイズ3に切り替えられる共に、SL55AMGに代わりSL63AMGが導入されました。そして2012年3月に現行型に切り替えられました。