ダイムラー・ベンツ(現ダイムラーAG)は1989年、2シーター・カブリオレ「SLクラス」に18年ぶりにして3度目のフルモデルチェンジを実施し、4代目R129型に移行させました。電子制御式のアクティブ・サスペンションやTRC(トラクション・コントロール・システム)、転倒時に自動的に飛び出すロールバーなど、最新のハイテク装備が採用された事が特徴でした。
エアロダイナミックを追求
スタイリングは直線基調の先代から一転、やや丸みを帯びたエアロダイナミックなフォルムに変貌すると共に、Cd値0.32の空力特性を実現しました。又、それまではソフトトップ仕様とデチャッタブル・ハードトップ仕様が個別に設定されていたのに対し、電動ソフトトップとデタッチャブル・ハードトップの両方が標準装備されました。
ボディサイズは全長4,470mm×全幅1,811mm×全高1,300mmで、先代から全長・全幅が拡大された他、ホイールベースも60mm延長され2,515mmとなりました。サスペンション形式は、フロントがダブルウィッシュボーン式からストラット式に、リアがセミトレーリングアーム式からマルチリンク式にと一新されました。
駆動方式はFRを踏襲し、搭載エンジン及びグレード体系は、当初3L直6SOHC12V(最高出力191ps/最大トルク26.5kgm)の「300SL」、同DOHC24V(最高出力234ps/最大トルク27.8kgm)の「300SL-24」、5L V8DOHC32V(最高出力326ps/最大トルク45.9kgm)の「500SL」の3タイプがラインナップされました。トランスミッションは、5速MT又は4速トルコン式ATが組み合わせられました。
そして1992年に、「Sクラス」譲りの6L V12DOHC48Vエンジン(最高出力394ps/最大トルク58.1kgm)を搭載する「600SL」が追加されました。次いで1994年、フェイスリフトと共にグレード名が変更され、「SL」の文字が排気量を表す数字の前に付くようになりました。それと同時に、ラインナップの見直しも行われました。
AMGモデルも追加に
3Lモデルに代わり、2.8L直6DOHC24Vエンジン(最高出力193ps/最大トルク27.5kgm)搭載の「SL280」と3.2L直6DOHC24Vエンジン(最高出力231ps/最大トルク32.1kgm)搭載の「SL320」が設定された他、6L V12エンジンを最高出力380ps/最大トルク59.1kgmまでチューンナップして搭載する「SL60AMG」が追加されました。
続いて1998年、2度目のフェイスリフトと共にエンジンのリニューアルが図られました。SL280は2.8L V6SOHC18V(最高出力204ps/最大トルク27.5kgm)に、SL320は3.2L V6SOHC18V(最高出力224ps/最大トルク32.1kgm)に、SL500は5L V8SOHC24V(最高出力306ps/最大トルク46.9kgm)にそれぞれ置換されました。
又、SL60AMGは廃止され、代わって5.4L V8SOHC24V(最高出力354ps/最大トルク54kgm)を搭載する「SL55AMG」が設定されました。更に1999年には、7.3L V12DOHC48V(最高出力354ps/最大トルク54kgm)搭載の「SL73AMG」が追加されました。そして2001年にフルモデルチェンジが実施され、5代目R230型に移行しました。
日本市場における4代目SLクラスは、1989年10月にまず500SLの導入が開始され、1993年10月に6L V12エンジン搭載のSL600 6.0AMGが追加されました。次いで1994年11月にフェイスリフト版のSL320/SL500/SL600の導入が開始され、1996年6月には6L V8エンジン搭載のSL500 6.0AMGが追加されました。
続いて1998年8月に新エンジン搭載のSL320/SL500の導入が開始され、同年10月にはSL55AMGと7L V12エンジン搭載のSL600 7.0AMGが追加されました。次いで1999年10月にSL73AMGが追加された後、2001年10月に5代目モデルに切り替えられました。