ボルボ・カーズは1998年、1990年にリリースした「960」の後を継ぐフラッグシップモデル「S80」を発売しました。「メルセデス・ベンツ・Eクラス」や「BMW・5シリーズ」と真っ向から競合するEセグメント車で、SRSカーテンエアバッグシステムや後部衝撃吸収リクライニング機構付フロントシートなど、充実した安全装備がセリングポイントでした。
S70に続きFF方式を採用
ボディタイプは960と異なり5ドアステーションワゴンは用意されず、4ドアセダンのみの設定でした。スタイリングはボクシーな960から一転、丸みを帯びた流麗なフォルムに変貌すると共に空力特性も向上し、Cd値は960を0.08ポイント下回る0.28を実現しました。ボディサイズは全長4,822mm×全幅1,832mm×全高1,434mmで、960セダン標準ボディ仕様から一回り拡大されました。
又、ホイールベースも若干長い2,791mmとなっていました。駆動方式は、960のFRから弟分のS70同様のFFに変更されました。エンジンは当初、2L直5ターボ(最高出力226ps)、2.8L直6ターボ(最高出力272ps)、2.9L直6NA(最高出力204ps)のガソリン3種類がラインナップされました。組み合わせられるトランスミッションは、5速MTと4速/5速トルコン式ATが設定されました。
サスペンション形式は、960同様のフロント:マクファーソンストラット式/リア:マルチリンク式が踏襲されました。そして翌1999年、チューニングの異なる2種類の2.4L直5ガソリンNAエンジン(最高出力140ps/170ps)と、2.5L直5ディーゼルターボエンジン(最高出力140ps)が、追って2000年には、2.4L直5ガソリンターボエンジン(最高出力200ps)が追加されました。
M/Cで安全装備が更に充実
更に2001年、2.8Lガソリンターボに代わり2.9L直6ガソリンターボエンジン(最高出力272ps)が設定されました。次いで2002年に最初のマイナーチェンジが実施され、新たな安全装備として横滑り防止装置とトラクションコントロールを組み合わせた「DSTC」と、ブレーキアシスト「EBA」が追加されました。同時に、後席用の装備を充実させた「リムジン」がラインナップに加わりました。
次いで2003年に実施された2度目のマイナーチェンジでは、内外装の意匠が変更されました。そして2006年にフルモデルチェンジが実施され、2代目モデルに移行しました。日本市場への初上陸は1998年9月で、グレードは当初2.8Lターボエンジン+4速AT搭載の「T-6」と、2.9L NAエンジン+4速AT搭載の「2.9」の2タイプがラインナップされました。
そして1999年2月、2.4L NAエンジン+5速AT搭載の「2.4」が追加され、続いて2001年10月にはT-6のエンジンが2.9Lターボに置換されると共に、2.4は廃止されました。次いで2002年11月、マイナーチェンジ版に切り替えられると共に、T-6の上級グレードとして欧州仕様のリムジンに相当する装備を持つ「T-6TE」が追加されました。