1985年にまず「ミディアムクラス」としてデビューしたメルセデス・ベンツの中核モデル「Eクラス」は、2002年に7年ぶり2度目のフルモデルチェンジを受け、3代目W211型に移行しました。ボディの素材にアルミニウムやマグネシウムを多用し軽量・高剛性化を図ると共に、サスペンションに改良が加えられました。
エアサスペンションを採用
ボディタイプはまず4ドアセダンがリリースされ、そのスタイリングは先代のイメージとCd値0.27の空力特性を受け継ぎながら、楕円形ヘッドランプの採用などによりリフレッシュが図られました。ボディサイズは全長4,820mm×全幅1,820mm×全高1,450mmで、先代から全幅と全高が僅かに拡大されました。又、ホイールベースは20mm延長され2,855mmとなりました。
サスペンション形式は、フロントはダブルウィッシュボーン式から4リンク式に変更され、リアはマルチリンク式が踏襲されました。又、電子制御式のAIRマチックDCサスペンションが標準装備された事が大きな特徴でした。駆動方式は当初フルタイム4WDの「4MATIC」は用意されず、FRのみが設定されました。
欧州仕様の搭載エンジン及びグレード体系は、ガソリンはまず2.6L V6(最高出力177ps)の「E240」、3.2L V6(最高出力224ps)の「E320」、5L V8(最高出力306ps)の「E500」が、ディーゼルは2.2L直4ターボ(最高出力150ps)の「E220CDI」と2.7L 直5ターボ(最高出力177ps)の「E270CDI」がラインナップされました。トランスミッションは、6速MTと5速トルコン式ATが設定されました。
そして少し遅れてガソリン5.4L V8エンジン(最高出力476ps)を搭載する高性能モデル「E55AMG」が追加され、翌2003年には5ドアステーションワゴンが追加されると共に、セダン/ワゴンにガソリン1.8L直4スーパーチャージドエンジン(最高出力162ps)搭載の「E200 コンプレッサー」が、セダンに4L V8ディーゼルターボエンジン(最高出力260ps)搭載の「E400CDI」が設定されました。
エンジンを順次高性能化
同じ年にE320に4MATIC仕様が設定された他、E500のATが7速化されました。次いで2004年、E320に代わりガソリン3.5L V6エンジン(最高出力272ps)搭載の「E350」が、翌2005年にはE240に代わりガソリン3L V6エンジン(最高出力231ps)搭載の「E280」が、E270CDIに代わりディーゼルターボ3Lエンジン(最高出力190ps及び224ps)搭載の「E280CDI」及び「E320CDI」が設定されました。
又、E400CDIは排気量こそ不変ながら最高出力が314psに向上し、グレード名が「E420CDI」に変更されました。次いで2006年にフェイスリフトが実施されると共に、E500に代わりガソリン5.5L V8エンジン(最高出力390ps)搭載の「E550」が、E55AMGに代わりガソリン6.2L V8エンジン(最高出力514ps)搭載の「E63AMG」がラインナップされました。
そして2009年にフルモデルチェンジが実施され、4代目W212型に移行しました。日本市場における3代目Eクラスは、2002年6月にまずE240/E320/E500の導入が開始され、同年12月にE55AMGが追加されました。次いで2003年8月にワゴンE240/E320が、同年11月にセダンE320 4MATIC及びワゴンE320 4MATIC/E500/E55AMGがラインナップに加わりました。
続いて2005年2月、E320/E320 4MATICに代わりE350/E350 4MATICが、追って同年8月にE240に代わりE280が設定されました。次いで2006年8月にマイナーチェンジ版に切り替えられると同時に、グレード体系がE300/E320CDI/E350/E350 4MATIC/E550/E63AMGとなりました。そして2009年5月にW212型に切り替えられました。