1985年にデビューしたダイムラー・ベンツ(現ダイムラーAG)のW124型「ミディアムクラス」は、車名を「Eクラス」に変更した翌年の1995年にフルモデルチェンジを受け、2代目W210型に移行しました。それまで「最善か無か」をコンセプトに高品質に拘ってきた同社が、時代背景により優先項目を軽量化とコストダウンに切り替えた初めてのモデルでした。
フロント廻りの意匠を一新
ボディタイプは当初は4ドアセダンのみで、スタイリングは丸みを帯びたフロント廻りの意匠や丸型4灯式ヘッドランプの採用などにより、従来のイメージが一新されました。又、空力特性も向上し、Cd値は先代より0.03ポイント低い0.27となりました。ボディサイズは全長4,800mm×全幅1,800mm×全高1,415mmで、先代から全長・全幅が60mm拡大された一方、全高は30mm低くなりました。
ホイールベースは35mm延長され、2,835mmとなりました。サスペンション形式は、フロントはストラット式からダブルウィッシュボーン式に変更され、リアはマルチリンク式が踏襲されました。又、ステアリング形式はそれまでのボール&ナット式から、軽量化を図る為ラック&ピニオン式に変更されました。駆動方式は当初フルタイム4WDの「4MATIC」は用意されず、FRのみが設定されました。
欧州仕様の搭載エンジン及びグレード体系は、ガソリンモデルとしてまず2L直4(最高出力136ps)の「E200」、2.3L直4(最高出力150ps)の「E230」、2.8L直6(最高出力197ps)の「E280」、3.2L直6(最高出力220ps)の「E320」、4.2L V8(最高出力279ps)がラインナップされた他、ディーゼルモデルも用意されました。トランスミッションは、5速MT又は5速トルコン式ATが組み合わせられました。
高性能なAMG仕様を追加
そして翌1996年に5ドアステーションワゴンが追加されると共に、セダン/ワゴンE320に4MATIC仕様車が設定されました。更に同年、セダンボディに5L V8エンジン(最高出力342ps)を搭載する高性能モデル「E50AMG」がリリースされました。次いで1997年には、搭載エンジン変更を伴うラインナップの入れ替えが実施されました。
E230に代わり2.4L V6エンジン(最高出力170ps)を搭載する「E240」が、E420に代わり4.3L V8エンジン(最高出力279ps)を搭載する「E430」が、E50AMGに代わり5.5L V8エンジン(最高出力354ps)を搭載する「E55AMG」がリリースされると共に、E320のエンジンが3.2L V6(最高出力224ps)に置換されました。続いて1999年にビッグマイナーチェジが実施され、エクステリアデザインが一新されました。
そして2002年にフルモデルチェンジが実施され、3代目W211型に移行しました。日本市場における2代目Eクラスは、まず1995年8月にE230/E320の導入が開始され、1996年10月にE400が、翌11月にワゴンE230が追加されました。次いで1997年8月にE230がE240に、E400がE430に、E320がV6エンジン仕様にそれぞれ入れ替えられました。
そして1999年10月にマイナーチェンジ版に切り替えられた後、2002年6月からW211型の導入が開始されました。