フィアットは1974年、1966年にリリースした「124」に代わる小型乗用車「131」を発売しました。生産される工場「ミラフィオーリ」のサブネームが与えられたこのモデルは、横置きFF方式と4輪独立懸架サスペンションを採用した弟分の「128」とは対称的に、124と同様のコンベンショナルなFR方式とリジッド式リアサスペンションが踏襲されました。
アバルト・モデルも登場
ボディタイプは、当初2ドア/4ドアセダンと5ドアステーションワゴンのラインナップで、124と異なりクーペやカブリオレの設定はありませんでした。エッジの効いたボクシーなフォルムが備わるボディのサイズは、全長4,238mm×全幅1,632mm×全高1,400mmで、124から全長・全幅が拡大された一方、全高は僅かに低くなりました。ホイールベース2,490mmで、124から70mm延長されました。
エンジンは当初、1.3L直4OHV(最高出力66ps)と1.5L直4OHV(最高出力76ps)が用意され、トランスミッションは4速MTの他、5速MTと3速トルコン式ATがオプション設定されました。サスペンション形式は、フロントは124のダブルウィッシュボーン式からストラット式に、リアは3リンク式から5リンク式に変更されました。
又、ステアリング形式はウォーム&ローラー式からラック&ピニオン式に変更され、ブレーキはリアがディスク式からドラム式にダウングレードされました。そして1976年、エアロパーツやオーバーフェンダーなどが備わる2ドアボディに、2L直4DOHCエンジン(最高出力139ps)+5速MTを搭載する高性能モデル「131アバルト・ラリー」がリリースされました。
機構面では、リアサスペンションがセミトレーリングアーム式に変更され、リアブレーキはディスク化されました。次いで1978年のマイナーチェンジで内外装デザインが一部変更されると共に、1.3Lエンジンの排気量が僅かに拡大され、ステーションワゴンに「パノラマ」の名称が与えられました。
上級グレードを追加
同時に、DOHC化された1.3Lエンジン(最高出力78ps)及び1.5Lエンジン(最高出力96ps)を搭載する上級グレード「スーパーミラフィオーリ」と、2L直4ディーゼルエンジン(最高出力60ps)及び2.4L直4ディーゼルエンジン(最高出力72ps)搭載車が追加されました。更に同じ年、エアロパーツや専用フロントマスクが備わる2ドアボディに、2L直4DOHCエンジン(最高出力115ps)を搭載する「レーシング」が追加になりました。
続いて1981年に実施された2度目のマイナーチェンジでは、ミラフィオーリ/スーパーミラフィオーリのエンジンがリニューアルされました。ミラフィオーリ用はSOHC化された1.4L(最高出力70ps)と1.6L(最高出力85ps)が用意され、DOHCを踏襲するスーパーミラフィオーリ用は1.4L(最高出力75ps)と1.6L(最高出力98ps)に加え、新たに2L(最高出力115ps)が用意されました。
同時に、2ドアセダンとレーシングは廃止されました。更に同じ年に、アバルト自製のルーツ式スーパーチャージャーを装着した2L直4DOHCエンジン(最高出力140ps)を搭載する「スーパーミラフィオーリ・ヴォルトメリーコ」がリリースされました。そして1983年にセダンが、1985年にワゴンが生産終了となりました。後を継いだのは、「リトモ」がベースのFFモデル「レガータ」でした。