フィアットは1969年3月、旧態化したFR小型セダン「1100R」の後継モデルとなる「128」をリリースしました。当時として革新的なエンジン横置きレイアウトによるFF方式を採用した事が特徴で、考案した主任技術者ダンテ・ジアコーザの名を取り、後に「ジアコーザ式レイアウト」と呼ばれました。128はトータルバランスにも優れ、同年のヨーロッパ・カーオブザイヤーを受賞しました。
4輪独立懸架サスペンションを採用
当初2ドアセダンと4ドアセダンの2タイプが用意されたボディは、実用一点張りともいえるボクシーかつプレーンなスタイリングを備えていました。ボディサイズは全長3,856mm×全幅1,590mm×全高1,420mmで、1100Rから全幅のみ拡大され、全長と全高は縮小されました。一方で、ホイールベースは100mm程長い2,448mmに設定され、車両重量は50kg程軽い800kgとなりました。
サスペンション形式は、フロント:マクファーソンストラット式/リア:ウィッシュボーン+リーフ式による4輪独立懸架で、ブレーキはフロントにディスク式が採用されました。エンジンは、当初は1.1L直4SOHC(最高出力56ps/最大トルク7.9kgm)のみの設定で、4速MTとの組み合わせによる最高速度は140km/hでした。そして同年11月、新たなバリエーションとなる3ドアステーションワゴンが発表されました。
クーペを追加
更に1971年、セダンとは全く異なる流麗なスタイリングを持つ2ドアクーペ「スポルト・クーペ」が追加されました。セダンより一回り小さい全長3,808mm×全幅1,560mm×全高1,310mm、ホイールベース2,223mmのボディに、アウトプットが最高出力65ps/最大トルク8.5kgmに高められた1.1L直4SOHCエンジン、又は最高出力76ps/最大トルク9.4kgmの1.3L直4SOHCエンジンが搭載されました。
一方セダンは、同じ年に1.3Lエンジン(最高出力68ps/最大トルク9kgm)を搭載する「ラリー」が追加されました。追って翌1972年にはステーションワゴンと共にフェイスリフトが実施されると同時に、内外装デザインを一部変更した上級グレード「スペチアーレ」(エンジンは1.1Lと最高出力61psの1.3L)が追加されました。
又、同じ年に、リトラクタブル・ヘッドランプと低いノーズが備わる2ドアクーペ「パルサー」が追加されました。次いで1973年、スポルト・クーペがテールゲートと折り畳み式リアシートが備わる「3P」に進化しました。エンジンは欧州の排出ガス規制対応型となり、最高出力は1.1Lが66ps、1.3Lが73psにドロップしました。
続いて1976年にセダン/ステーションワゴンに2度目にフェイスリフトが実施され、内外装の意匠変更と共にこちらもエンジンが排出ガス規制対応型(最高出力は1.1Lが56ps、1.3Lが60ps)に変更されました。それから2年後の1978年に1100がカタログ落ちしたものの、残る1300は1985年まで生産が継続されました。