フィアットは1959年、1957年にリリースした小型2+2シーター・オープンスポーツカー「1200スパイダー」にフルモデルチェンジを実施し、「1200/1500カブリオレ」に移行させました。シャシーや足回りなど基本メカニズムは1200スパイダーからのキャリオーバーながら、それに架装されるボディは全面的に刷新されました。
1500にはDOHCエンジンを搭載
エクステリア・デザインを手掛けたのはカロッツェリア・ピニンファリーナで、分割式のフロントマスクやボディ後半部分でキックアップするベルトラインなど1200スパイダーのイメージを残しつつも、抑揚を抑えた上品なフォルムに纏められていました。ボディサイズは全長4,030mm×全幅1,520mm×全高1,300mmで、1200スパイダーから若干拡大されました。
一方、2,340mmのホイールベースに変更はなく、フロント:ダブルウィッシュボーン+コイル式/リア:リジッド・リーフ式のサスペンション形式も踏襲されました。駆動方式もコンベンショナルなFRが踏襲され、エンジンは1200スパイダーには先代譲りの1.2L直4OHVシングルキャブレター仕様(最高出力59ps/最大トルク8.5kgm)が搭載されました。
一方1500スパイダーには、OSCA製1.5L直4DOHCシングルキャブレター仕様(最高出力81ps/最大トルク11.5kgm)が搭載されました。トランスミッションは前者に4速MT、後者に5速MT(共にローのみノンシンクロ)が組み合わせられ、それぞれ最高速度145km/h、170km/hの性能でした。又、ブレーキは、当初両モデル共に一般的な4輪ドラム式が採用されました。
排気量アップにより性能が向上
その後、翌1960年に1500カブリオレのフロントブレーキがディスク化され、次いで1961年にはグレード名が「1500Sカブリオレ」に変更されました。更に1962年、1500Sカブリオレに代わり、排気量を1.6Lに拡大すると共にツインキャブレター装着により最高出力を100psに高め、リアにもディスクブレーキを装備した「1600Sカブリオレ」が設定されました。
続いて1963年にはフェイスリフトが実施され、上級モデル「2300Sクーペ」に類似したフロントグリルが与えられました。同時に1200カブリレオに代わり、最高出力72psの自社製1.5L直4OHVエンジンを搭載し、4輪ディスクブレーキを装備する「1500カブリオレ」が設定されました。次いで1965年、1500/1600Sカブリオレ共にトランスミッションがフルシンクロ5速MTに変更されました。
同時に、1500カブリオレのエンジンの最高出力が76psに向上しました。そして1966年のトリノ・ショーで後継モデルとなる「124スポルト・スパイダー」が発表された事を受け、同年に生産終了となりました。