今はルノー傘下になって、エンジンやシャシーをルノーと共同で開発している日産ですが、その昔、アルファロメオと共同で自動車開発していたことをご存じでしょうか。車名は「アルファロメオ アルナ(alfa-romeo arna)」といいます。
苦しい時代のアルファロメオ
1970年代のアルファロメオは、ヒット作もなく、また製品の品質問題=故障が多いといった理由で苦境にあえいでいました。一方の日産は、ヨーロッパ進出を狙っていたのですが、知名度がイマイチで、なかなか状況を打開できないでいました。
そういった両者の利害関係が一致して、共同でクルマを開発しよう、ということになったのです。アルファロメオは日本メーカーの品質が、日産はヨーロッパでの知名度が、それぞれ得られるというわけです。
市場も日伊合作に期待していたが…
また、市場もこのアライアンスに期待しました。アルファロメオならではのカッコいいボディデザインに、信頼性の高い日産のエンジンが注入されれば、これ以上ないモデルができる、とワクワクしたのです。「マカロニボディに、ライスエンジン」を期待したわけですね。
しかし、出来上がったのはまったく逆。日産デザインのボディ(N12系の日産パルサー)に、アルファのエンジン(水平対向4気筒)が搭載されていたのです。当時、日本車のデザインはこれといった特徴がなくヨーロッパでは「退屈」と評されていました。そのボディに、いつ壊れるか分からないアルファロメオのエンジンです。「マカロニエンジンに、ライスボディ」だったわけです。
しかし、アルファロメオにとってみれば、エンジンこそクルマの「心臓」。絶対に譲れない部分なのです。そのあともフィアット傘下になって一緒にクルマを開発していますが、一部を独自に開発するなどして、よその会社のエンジンをそのまま使ったりはしていません。
そんなアルファのこだわりを、市場が理解するはずもなく、あえなくその共同開発は5年あまりで解消されました。アルファロメオの歴史では、アルナにはほとんど触れられていません。今風にいうと、黒歴史です。