ボルボ・カーズは1991年、1974年にリリースした中型乗用車「240シリーズ」の後継モデルとなる「850」を発表しました。駆動方式がそれまでのFRからFFに転換された他、直列5気筒エンジンが採用されるなどメカニズム面で全面的な刷新が図られました。更に、後に同社初の4WD車が設定された事もトピックとなりました。
衝撃吸収ボディを採用
ボディタイプは当初は4ドアセダンのみの設定で、スタイリングはボクシーなイメージを受け継ぎながらも大幅な近代化が図られました。同時に、衝撃吸収ボディの採用により安全性能が向上した事も特徴でした。ボディサイズは全長4,661mm×全幅1,760mm×全高1,415mmで、240シリーズに対しショート&ワイドなディメンションとなりました。
ホイールベースは2,664mmで、240シリーズから若干延長されました。エンジンは当初、2L直5SOHC(最高出力145ps/最大トルク17.9kgm)、2.5L直5DOHC10V(最高出力140ps/最大トルク21kgm)、同20V(最高出力170ps/最大トルク22.4kgm)のガソリンNA3種類が用意されました。組み合わせられるトランスミッションは、5速MT又は4速トルコン式ATでした。
ステーションワゴンを追加
サスペンション形式はフロントはマクファーソンストラット式を踏襲し、リアはトレーリングアーム式からデルタリンク式に変更されました。又、ブレーキはフロントに加えリアにもディスク式が採用されました。そして1993年に、全長を48mm、全高を30mm拡大した5ドアステーションワゴン「エステート」がラインナップに加わりました。
又、同じ年に2.3L直5DOHCガソリンターボエンジン(最高出力225ps/最大トルク30.6kgm)が追加されました。次いで翌1994年には、2.3Lターボエンジンのアウトプットを最高出力250ps(MT)・240ps(AT)/最大トルク33.7kgmまで高めて搭載する高性能モデル「2.3T-5R」が追加されました。続いて1995年、フェイスリフトによりフロント廻りの意匠などが変更されました。
又、ビスカスカップリングが備わるオンデマンド型フルタイム4WD車が追加されたのもこの年の事でした。次いで1996年、2.5L直5DOHCガソリンターボ(最高出力193ps/最大トルク27.5kgm)及び2.5L直5SOHCディーゼルターボ(最高出力140ps/最大トルク29.6kgm)の2種類のエンジンが追加されました。
日本にはガソリンFF車のみを導入
そして1996年にビッグマイナーチェンジが実施されると共に、車名がセダンは「S70」、エステートは「V70」に変更されました。日本市場に850が初上陸したのは1992年5月の事で、まず2.4L 20Vエンジン+4速AT搭載のセダン「GLT」が導入され、追って同年10月に2.4L 10Vエンジン+4速AT搭載の「GLE」が、更に1993年1月にその廉価版「GLEタイプS」が追加されました。
次いで1993年10月、ターボエンジン+4速AT搭載の「ターボ」が追加されると共に、GLEタイプSのグレード名が「GL」に変更されました。同時に、セダンと同じグレード体系を持つエステートがラインナップに加わりました。続いて1994年9月にターボに5速MT仕様が追加され、翌1995年9月にはGLのグレード名が「S2.5」に変更されました。
次いで1996年3月、2.3T5-Rに相当する「R」(5速MT/4速AT)が特別仕様車として設定されました。追って同年7月にグレード体系が一新され、2.3Lターボエンジン搭載の「T-5」、2.5L 10Vエンジン搭載の「2.5」、同20Vエンジン搭載の「2.5 20V」、同ターボエンジン搭載の「2.5T」のラインナップとなりました。