ダイムラー・ベンツ(現ダイムラーAG)は1979年9月、フラッグシップモデル「Sクラス」に7年ぶりのフルモデルチェンジを実施し、2代目W126型に移行させました。持ち味の安全性能や走行性能に磨きが掛けられた他、燃費や環境性能に対する社会的な要求に応える形で、ボディの軽量化や空力特性改善対策が行われた事が特徴でした。
全幅を縮小しCd値が向上
ボディタイプは、当初は先代同様4ドアセダンの標準仕様及びロングホイールベース仕様のラインナップでした。スタイリングは面では、前後バンパーがスチール製からウレタン製に変更された他、A/Cピラーの傾斜が強められた事が特徴で、Cd値はそれまでの0.42から0.36に低減されました。ボディサイズは、全長5,020mm(標準仕様)/5,160mm(ロングホイールベース仕様)×全幅1,820mm×全高1,440mmでした。
先代との比較では、全長が拡大された一方で全幅は縮小されました。ホイールベースは先代から延長され、標準仕様が2,930mm、ロングホイールベース仕様が3,070mmとなりました。サスペンション形式はフロント:ダブルウィッシュボーン式/リア:セミトレーリングアーム式が踏襲され、ブレーキは全車にフロントがベンチレーテッド型の4輪ディスク式が採用されました。
駆動方式は従来同様FRで、欧州仕様の搭載エンジン及びグレード体系は、当初2.8L直6キャブレター仕様(最高出力156ps/最大トルク22.7kgm)搭載の「280S」、同燃料噴射仕様(最高出力185ps/最大トルク24.5kgm)搭載の「280SE」、3.8L V8燃料噴射仕様(最高出力218ps/最大トルク31.1kgm)搭載の「380SE」「380SEL」、5L V8燃料噴射仕様(最高出力240ps/最大トルク40.9kgm)搭載の「500SE」「500SEL」が用意されました。
クーペを追加
先代同様北米市場専用モデルとして、3L直5ディーゼルターボ(最高出力121ps/最大トルク23.5kgm)搭載の「300SD」「300SDL」もラインナップされました。トランスミッションは、4速/5速MTと4速トルコン式ATが設定されました。そして1982年、ホイールベースを2,850mmに短縮したシャシーに2ドアクーペボディを架装した「380SEC」「500SEC」が追加されました。
このクーペモデルは、セダンよりもワイド&ローなディメションと2シーターカブリオレ「SLクラス」に類似したフロントマスクが備わる点が特徴でした。次いで1985年にフェイスリフトが実施され、前後バンパーやアルミホイールなどの意匠が変更されると同時に、500SE/500SECを除きラインナップが一新されました。
新たに用意されたエンジン及びグレードは、セダンは2.6L直6(最高出力166ps/最大トルク23.3kgm)搭載の「260SE」、3L直6(最高出力185ps/最大トルク26.5kgm)搭載の「300SE」、4.2L V8(最高出力230ps/最大トルク33.9kgm)搭載の「420SE」「420SEL」、5.6L V8(最高出力285ps/最大トルク44.8kgm)搭載の「560SE」「560SEL」の6タイプ、クーペは「420SEC」「560SEC」の2タイプでした。
そして1991年にフルモデルチェンジが実施され、3代目W140型に移行しました。