ボルボ・カーズは1974年秋、大型乗用車「164」の後継モデル「260シリーズ」と共に、1966年にリリースした中型乗用車「140シリーズ」の後継モデルとなる「240シリーズ」を発売しました。安全実験車「VESC」で培った技術の導入により衝突安全性能の向上が図られた事が最大の特徴で、20年近くに渡り生産が続けれるロングセラーカーとなりました。
ボディは3タイプ
プラットフォームは一新され、ボディタイプは2ドアセダンの「242」、4ドアセダンの「244」、5ドアステーションワゴンの「245」の3タイプが用意されました。スタイリングは140シリーズ譲りのボクシーなフォルムを踏襲しながらも、フロントマスクの変更によりイメージが一新されました。ボディサイズは全長4,896mm×全幅1,707mm×全高1,435mmで、ホイールベースは2,640mmでした。
140シリーズとの比較では全長が200mm以上、ホイールベースも20mm延長された一方、全幅は若干縮小されました。サスペンション形式は、フロントはウィッシュボーン式からマクファーソンストラット式に変更され、リアはトレーリングアーム式が踏襲されました。駆動方式は、従来同様のFRが踏襲されました。
エンジンは当初、140シリーズからキャリオーバーされた2L直4OHVのB20A型(最高出力89ps)に加え、2.1L直4SOHCシングルキャブレター仕様のB21型(最高出力108ps)及び同電子燃料噴射仕様のB21E型(最高出力125ps)が用意されました。組み合わせられるトランスミッションは、4速MTと3速トルコン式ATが設定されました。
又、ブレーキ形式はフロント:ディスク式/リア:ドラム式が踏襲された一方、ステアリング形式はリサーキュレーティング・ボール式からラック&ピニオン式に変更されると共に、パワーステアリングが設定されました。当初のグレード体系は、242/245に「L」と「DL」が、244に「DL」と「GL」がラインナップされました。
ターボ車やディーゼル車を追加
搭載エンジンは242LがB20A型、244GLがB21E型で、それ以外はB21型でした。その後1976年にB20A型エンジンが廃止され、代わって新開発の2L直4SOHCシングルキャブレター仕様ユニットB19型(最高出力97ps)が設定されました。次いで1978年にマイナーチェンジが実施され、ヘッドランプが丸形2灯式から角形2灯式に変更されました。
同時に、2.3L直4SOHC電子燃料噴射仕様のB23E型エンジン(最高出力140ps)+5速MTを搭載する「242GT」が追加されました。次いで1980年、バンパーの形状が変更されると共に、B21型エンジンが改良型のB21A型(最高出力109ps)に置換された他、GLには2.3L直4SOHCシングルキャブレター仕様のB23A型エンジン(最高出力112ps)が搭載されました。
更に、新たなラインナップとしてB21E型ターボエンジン(最高出力155ps)+5速MTを搭載する「244ターボ」と、フォルクスワーゲン製の2L直4SOHC(最高出力71ps)又は2.4L直6SOHC(最高出力83ps)のディーゼルエンジンを搭載する「244ディーゼル」が追加されました。続いて1983年に車名が「240」に統一され、翌1984年には2ドアモデルが廃止されました。
次いで1985年、新開発のガソリン2.4L直4SOHCエンジンB230型(最高出力115ps)が追加された一方、B21E型ターボエンジン搭載車は廃止されました。そして1992年、後継モデル「850」がデビューした事を受け、翌1993年に全車生産終了となりました。