1979年に初代モデルがデビューしたランチアのコンパクトカー「デルタ」は、1993年に14年ぶりにフルモデルチェンジを実施し、2代目モデルに移行しました。単独車種として設計された初代と異なり、複数の車種のプラットフォームを共有化する「テーポ2/3プロジェクト」の一環として開発され、「フィアット・ティーポ」「フィアット・テムプラ」「アルファロメオ・155」「ランチア・デドラ」の姉妹モデルとなりました。
デドラと共通性のあるスタイリング
ボディタイプは先代同様5ドアハッチバックのみが設定され、スタイリングはイタルデザインによりデザインされた4ドアセダンのデドラのテール部分を切り落としたようなフォルムを備えていました。又、空力特性にも配慮され、Cd値0.32を実現していました。ボディサイズは全長4,011mm×全幅1,703~1,759mm×全高1,430mmで、先代から一回り拡大されました。
ホイールベースは前記4車種と共通の2,540mmで、先代からは65mm延長されました。又、車両重量も増加し、1,105~1,330kgとなりました。サスペンション形式は4輪ストラット式の先代とは異なり、リアがトレーリングアーム式となっていました。駆動方式は先代同様FFとフルタイム4WDが設定され、エンジンは当初ガソリン4種類が用意されました。
エンジンは全5種類に
エンジンは、1.6L直4SOHC NA(最高出力75HP)、1.8L直4DOHC NA(最高出力105HP)、2L直4DOHC NA(最高出力142HP)、2L直4DOHCターボ(最高出力190HP)で、トランスミッションは5速MTと3速トルコン式ATが用意されました。グレードは、1.6Lエンジン搭載の「1.6」「LE1.6」、1.8Lエンジン搭載の「1.8」「LE1.8」、2L NAエンジン搭載の「2.0 16V」「LS2.0 16V」、2Lターボエンジン搭載の「HF」「LS HF」が設定されました。
装備面では、「LE」及び「LS」仕様にはアロイホイール、デミスター付き電動ミラー、アルカンターラのインテリア、ハイトアジャスター&ランバ-サポート付きドライバーズシート、分割可倒式リアシートが備わり、更に「2.0LS」「HF LS」にはABSが、「HF LS」にはビスカス式LSDや革巻き3本スポーク・ステアリングホイールが装備されました。
そして1997年に、1.6LユニットがDOHC化され最高出力が102HPに、1.8Lユニットも改良により最高出力が128HPに向上すると共に、グレード体系が「LS」仕様と「HPE」仕様の2タイプとなりました。同時に、新たに1.9L直4SOHCディーゼルターボエンジン(最高出力89HP)を搭載する「LS1.9td」「HPE1.9td」が追加されました。
そして1999年に後継モデルの発売もないまま生産終了となり、2008年に3代目モデルが登場するまでの間、デルタの車名は一旦ラインナップから消滅する事となりました。尚、日本市場においては「HFインテグラーレ」を中心に多数が輸入された初代モデルとは対照的に、僅か数台が輸入されたに留まりました。