初代モデルが1954年にデビューしたフォード・モーターの高級スペシャリティカー「サンダーバード」は、1967年に3年ぶり4度目のフルモデルチェンジを受け、通称「グラマー・バーズ」と呼ばれる5代目モデルに移行しました。それまでのイメージを一新する斬新なスタイリングが採用されるとともに、従来以上にラグジュアリー路線が推し進められました。
歴代初の4ドアボディを追加
ボディタイプは、販売が思わしくなかった2ドアコンバーチブルと2ドアスポーツロードスターが廃止され、2ドアハードトップと2ドアハードトップランドウに、観音開き式のドアを持つ4ドアランドウを加えた3タイプとなりました。初期型のエクステリアは、メッシュ状のグリルが全面を覆うフロントマスクが最大の特徴で、ヘッドランプはコンシールドタイプ(格納式)が採用されました。
さらに、プロポーションがロングノーズ・ショートデッキ化された他、控えめなコークボトルラインが採用されました。機構面では、先代で初採用されたシーケンシャル・フラッシャーが受け継がれました。ボディサイズは、全長5,255mm(2ドア)/5,319mm(4ドア)×全幅1,963mm×全高1,336mm(2ドア)/1,356mm(4ドア)でした。
先代との比較では全長・全幅が拡大されており、車両重量は2,060~2,111kgに達しました。また、ホイールベースも延長され2ドアが2,921mm、4ドアが2,977mmとなりました。駆動方式はFRを踏襲、エンジンも先代からのキャリオーバーで、6.4L V8OHV(最高出力315hp/最大トルク59kgm)およびオプションの7L V8OHV(最高出力360hp/最大トルク66.4kgm)が用意されました。
ビッグM/Cでフロントマスクを一新
組み合わせられるトランスミッションは、先代同様3速トルコン式ATのみの設定でした。また、ブレーキは先代後期型同様のフロント:ディスク式/リア:ドラム式で、ホイール&タイヤも5.5J×15ホイール+8.15-15タイヤの組み合わせが踏襲されました。その後の展開は、1968年および1969年モデルはトリムの小変更に留まったものの、1970年モデルで大掛かりなエクステリアの変更が行われました。
特徴的なフロントグリルとコンシールド・ヘッドランプは廃止され、代わって中央部が鳥のくちばしのように尖ったフロントマスクと固定式の4灯式ヘッドランプが与えられました。このデザイン・モチーフは、ポンティアック・ブランドのモデルを彷彿とさせるものでした。この変更に伴い、全長が2ドアモデルは5,398mm、4ドアモデルは5,461mmに延長されました。
そして1972年にフルモデルチェンジが実施され、通称「ビッグ・バーズ」と呼ばれる6代目モデルに移行しました。
先代モデル:4代目サンダーバード
後継モデル:6代目サンダーバード