アウディAGは1996年、同社のボトムレンジとなるニューモデル「アウディ・A3」を発売しました。1978年に生産終了となった「アウディ・50」以来同社久々の小型ハッチバック車で、同時に翌年に発売を控えた親会社フォルクスワーゲンの「ゴルフⅣ」のベースモデルともなりました。その一方で、アウディ・ブランドのモデルに相応しくそれよりもプレミアムかつスポーティな性格が与えられました。
まずは3ドアFFモデルから
ボディタイプは当初3ドアハッチバックのみの設定で、2年前にデビューした小型セダン/ワゴン「A4」の流れを汲むフロントマスクが備わっていました。ボディサイズは全長4,152mm×全幅1,735mm×全高1,423mm、ホイールベースは2,513mmで、ゴルフⅣと比較すると全高が30mm程低いディメンションでした。
サスペンション形式はフロント:マクファーソンストラット式/リア:トレーリングアーム式で、ゴルフⅣにもこの形式が受け継がれました。駆動方式は当初FFのみの設定で、エンジンレイアウトは同社のスタンダードであった縦置きではなく、ゴルフの伝統に合わせる形で横置きが採用されました。エンジンは1.6L直4NA/1.8L直4NA/同ターボのガソリン3種類と、1.9L直4ディーゼルターボが用意されました。
5ドアとクワトロを追加
最高出力/最大トルクはそれぞれ101ps/14.8kgm、125ps/17.3kgm、150ps/21.4kg、90ps/21.4kgmで、トランスミッションは5速MT又は4速トルコン式ATが組み合わせられました。そして1999年、新たなラインナップとして5ドアハッチバックと、1.8Lガソリンターボエンジンの高出力版(最高出力180ps/最大トルク24kgm)が追加されました。
同時に、1.8Lガソリンターボエンジン(150ps/180ps)を搭載するフルタイム4WDモデル「クワトロ」が登場しました。更に派生モデルとして、A3の3ドアボディに1.8Lガソリンターボエンジンのアウトプットを最高出力210ps/最大トルク27.5kgmまで高めて搭載するフルタイム4WD方式の派生モデル「S3」が発売されました。
次いで翌2000年にマイナーチェンジが実施され、内外装の変更と共に6速MT仕様車が追加されました。そして2003年にフルモデルチェンジが実施され、2代目8P系に移行しました。日本市場における初代A3は、欧州デビュー翌年の1997年1月にまず1.8L NAエンジン+4速AT搭載の3ドア車「1.8」が導入され、翌1998年1月には1.8Lターボエンジンを搭載する「1.8T」が追加されました。
続いて1999年10月、150ps版1.8Lターボエンジン+5速MTを搭載する「1.8Tクワトロ」が追加になると共に、FF車はボディを5ドアに変更したNAモデル1.8に一本化されました。次いで2000年に1.8Tクワトロがカタログ落ちし、代わって翌2001年4月に5ドアボディに1.8Lターボエンジン+5速ATを搭載するFFグレード「1.8T」が追加されました。
続いて2002年4月に豪華装備の上級グレード「1.8Tスポーツ」が追加された後、2003年9月に2代目モデルに切り替えられました。