三菱自動車工業は1998年6月、「パジェロジュニア」の後継モデルとなるコンパクトSUV「パジェロイオ」を発売しました。軽SUV「パジェロミニ」がベースのパジェロジュニアと異なり最初から専用設計が行われた他、ボディサイズやエンジンの排気量が拡大されるなど上級志向が強められたモデルとなりました。
ボディは3ドアと5ドアを用意
ボディタイプはまず3ドアが登場し、追って同年8月にパジェロジュニアには設定のなかった5ドアが追加されました。パジェロシリーズの一員としてのアイコン性が備わったボディのサイズは全長3,675mm(3ドア)/4,025mm(5ドア)×全幅1,680mm×全高1,700mm(3ドア)/1,750(5ドア)mmで、3ドア同士の比較でもパジェロジュニアから一回り拡大されていました。
ホイールベースもより長い2,280mm(3ドア)/2,450mm(5ドア)に設定された他、車両重量は200kg以上重い1,250~1,350kgとなりました。又、乗車定員は3ドアが4人、5ドアが5人でした。サスペンション形式は、パジェロジュニアと同様のフロント:マクファーソンストラット式/リア:5リンク・コイル式が踏襲されました。
駆動方式は当初パジェロジュニア同様4WDのみが設定されたものの、そのシステムはパジェロジュニアのパートタイム方式と異なり、三菱独自のフルタイム方式「スーパーセレクト4WD-i」が採用されました。エンジンはパジェロジュニアの1.1L直4に対し、大幅に排気量の大きい1.8L直4DOHC GDI仕様の4G93型(最高出力130ps/最大トルク18.5kgm)が当初搭載されました。
トランスミッションは当初4速トルコン式ATのみの設定であったものの、同年10月に5速MTが追加されました。発売時のグレード体系は下から「ZX」「ZR」の2タイプの他、5ドアにイタリアのピニンファリーナ社と共同でデザインを行った「ソレント」が設定されました。そして1999年8月、ZRに2WD(FR)モデルが追加されると共にZRの上級グレード「ZR-S」が設定され、ZXは廃止されました。
三菱 パジェロイオのCM
ターボエンジン搭載車を追加
次いで2000年6月のマイナーチェンジで、エンジンが2L直4DOHC GDI仕様の4G94型(最高出力136ps/最大トルク19.5kgm)に置換されると共に、特別仕様車であった「パールパッケージ」がカタログモデルに昇格しZR-Sは廃止されました。更に翌7月、4G93型ターボエンジン(最高出力160ps/最大トルク22.4kgm)を搭載する5ドアのスポーティグレード「TR」「TRスポーティ・パッケージ」が追加されました。
次いで2002年9月に、3ドアと2WDモデルが廃止され5ドア・4WD車に一本化されました。一方で、4G93型NAエンジンがSOHC・ECI-MULTIに仕様変更(最高出力116ps/最大トルク16.3kgm)を受けた上で、パールパッケージに搭載されて復活しました。続いて2005年1月の一部改良で装備やボディカラーの見直しが行われると共に、ソレントとTRが廃止されました。
次いで2006年1月のマイナーチェンジで装備の充実が図られると共にグレード体系が一新され、4G93型NAエンジン搭載の「アクティブフィールドエディション1.8」と4G94型エンジン搭載の「アクティブフィールドエディション2.0」の2タイプが基本となりました。そして2007年12月、後継モデルの発売もないまま国内販売が終了になりました。尚、ブラジル向けモデルは2015年まで生産が継続されました。