初代モデルが1974年にデビューしたいすゞ自動車の小型乗用車「ジェミニ」は、1985年5月に11年ぶりにして初のフルモデルチェンジを受け、2代目「FFジェミニ」となりました。先代が「オペル・カデット」の姉妹車種であったのに対し、いすゞオリジナルの設計が行われたほか、車名ととおり駆動方式がFRからFFに変更されたことが特徴でした。
デザインはジウジアーロが担当
ボディタイプは、先代に引き続き用意された4ドアセダンのほか、2ドアクーペに代わり3ドアハッチバックが設定されました。エクステリア・デザインはジョルジェット・ジウジアーロ率いるイタルデザインに委託され、同年代のトレンドでもあった直線基調のシャープなスタイリングとなりました。
初期型のボディ・ディメンションは全長3,960~4,035mm×全幅1,615mm×全高1,370mm、ホイールベース2,400mmで、先代との比較では全長が短縮された一方、全幅と全高は拡大されました。サスペンション形式は、先代のフロント:ダブルウィッシュボーン式/リア:3リンク式から一新され、フロントにマクファーソンストラット式、リアに同社独自のコンパウンドクランク式が採用されました。
エンジンは先代からダウンサイジングされ、当初1.5L直4SOHCガソリンNA(最高出力86ps/最大トルク12.5kgm)のみが用意されました。組み合わせられるトランスミッションには、5速MTと3速トルコン式ATが設定されました。また、ステアリング形式はラック&ピニオン式で、ブレーキは全車フロント:ディスク式/リア:ドラム式でした。
ディーゼルモデルやホットモデルを追加
一方インテリアは、エクステリア同様直線基調のモダンなインパネが備わるほか、分割ブロック構成の「ニューテックシート」が採用されました。その後同年11月に、1.5L直4SOHCディーゼルNA(最高出力55ps/最大トルク9.7kgm)および同ターボ(最高出力70ps/最大トルク13.8kgm)の2種類のエンジンが追加されました。
次いで1986年4年に一部改良が実施され、1.5Lガソリン車に同社独自の乾式電子制御5速AT「NAVi5」搭載車が設定されました。追って翌5月には、1.5L直4SOHCガソリンターボエンジン(最高出力120ps/最大トルク18.5kgm)を搭載し、強化サスペンションやLSD、レカロシート、モモ製ステアリングなどが備わるホットモデル「イルムシャー」が追加されました。
次いで1987年2月にマイナーチェンジが実施され、内外装デザインが変更されるとともに、車名が初代以来の「ジェミニ」に戻されました。同時に、1.6L直4DOHCガソリンNAエンジン(最高出力135ps/最大トルク14.3kgm)を搭載し、英国のロータス社がハンドリングのチューニングを行った「ZZハンドリング・バイ・ロータス」が追加されました。
そして1990年3月にフルモデルチェンジが実施され、3代目モデルに移行しました。2代目ジェミニは市場から好評をもって受け入れられ、いすゞの乗用車史上最大のヒット作となりました。
先代モデル:初代ジェミニ
後継モデル:3代目ジェミニ