アウディAGは1999年、Dセグメント・ステーションワゴンの初代「A4アバント」(B5系)をベースした「RS4」を発売しました。A4アバントの高性能版としてすでに販売されていた「S4アバント」をも凌ぐ究極のパフォーマンスを追求したモデルで、エンジン性能のみならず、ボディ剛性やシャシー性能にも強化が施されていました。
エクステリアでも差別化
ボディシェルは基本的にA4/S4アバントと共通であったものの、大型エアインレット付きの専用フロントバンパーや拡大されたホイールアーチ、専用18インチアルミホイールなどの採用により差別化が図られていました。空力特性の指標となるCd値は0.34で、A4/S4アバントよりも0.02ポイント高くなっていました。
ボディ・ディメンションは全長4,525mm×全幅1,799mm×全高1,386mm、ホイールベース2,607mmで、A4/S4アバントと比較すると全長・全幅が拡大された一方、全高は低められていました。車両重量は1,620kgで、S4アバントに対し80kg増加していました。駆動方式はS4アバント同様、フルタイム4WD「クワトロ・システム」のみの設定でした。
2.7Lターボエンジンをチューニングして搭載
エンジンは、S4アバントにも搭載される2.7L V6DOHC30バルブ・ツインターボをベースに、アウディ100%出資子会社のクワトロGmbH社がチューンナップを施したものが採用されました。スペックは最高出力380ps/6,100-7,000rpm・最大トルク44.9kgm/2,500-6,000rpmで、S4アバントから115ps/4.1kgmの向上を果たしていました。
トランスミッションはS4アバント同様の6速MTながら、よりクロスしたギアレシオとなっていました。パフォーマンスは、最高速度こそリミッターの作動によりS4アバントと同一の250km/hに留まるものの、0-100km/h加速タイムは0.8s短縮され4.9sとなっていました。足回りは、フロント:4リンク式/リア:ダブルウィッシュボーン式の形式を踏襲したチューンドサスペンションが採用されました。
また、4輪ディスク式のブレーキは、S4アバントではフロントのみの採用に留まったベンチレーテッド型が、リアにも採用されました。タイヤは、前後ともS4アバントよりもワイドな255/35ZR18サイズが装着されました。一方室内は、全席にレカロ製シートが採用されたほか、フロントはパワーシート仕様+シートヒーター付きとなっていました。
その後は仕様変更やバリエーション追加などもなく、ベースモデルのA4アバントがフルモデルチェンジされた2001年をもって生産終了となりました。次期B6系A4アバントにはRS4の設定はなく、2代目モデルの登場はB7系へのバトンタッチまで待たなければなりませんでした。初代RS4は、日本市場においてはモデル末期の2001年6月に50台が限定販売されました。