フェラーリは2015年11月に開催された同社のレーシングイベント「フィナーリ・モンディアーリ」において、799台限定販売モデル「F12tdf」を発表しました。2012年に発売された「F12ベルリネッタ」をベースとした高性能バージョンで、エンジンのパワーアップやシャシーの強化のほか、新開発の後輪操舵機構「バーチャル・ショートホイールベース・システム」が採用されました。
大幅な軽量化を実現
ボディタイプはF12ベルリネッタ同様フィクスドヘッドの2ドアクーペのみの設定で、ボディ素材にはカーボンファイバーが多用されました。エクステリアは、専用デザインのフロントグリルやフロントフェンダー後部およびリアフェンダー上部に設けられたエアインテークなどにより、F12ベルリネッタとの差別化が図られました。
同時に空力特性の改善が図られ、ダウンフォースが87%向上したことも特徴でした。ボディサイズは全長4,656mm×全幅1,961mm×全高1,273mmで、F12ベルリネッタから全長が38mm、全幅が19mm拡大されまた。ホイールベースは共通の2,720mmで、車両重量は110kg軽量化され1,415kgとなっていました。
駆動方式はFRを踏襲し、エンジンはF12ベルリネッタと共通の6.3L V12DOHC直噴NAをベースにチューンナップを図ったものが搭載されました。スペックは最高出力780ps/8,500rpm・最大トルク71.9kgm/6,750rpmで、F12ベルリネッタの最高出力740ps/8,250rpm・最大トルク70.4kgm/6,000rpmから40ps/1.5kgmのアウトプット向上を果たすとともに、出力特性もより高回転型になっていました。
3秒を切る0-100キロ加速タイムを実現
トランスミッションは7速DCTの「F1 DCT」を踏襲しながら、クロスレシオ化されるとともに変速スピードが短縮されました。パフォーマンスは、最高速度がF12ベルリネッタの340km/hから「340km/h以上」へ、0-100km/h加速タイムが3.1sから2.9sへと向上しました。一方で、燃費は欧州複合モードで15L/100kmから15.4L/100kmへと若干低下しました。
サスペンションは、4輪ダブルウィッシュボーン式の形式とともに磁性流体力学式コントロール・システムの「SCM」が踏襲されました。また、4輪ベンチレーテッド・ディスク式のブレーキには、これもF12ベルリネッタ同様にカーボンセラミック・ブレーキの「CCM3」と、冷却システムのアクティブ・ブレーキ・クーリングが採用されました。
そのほか、ハイパフォーマンスABSや電子制御トラクションコントロール「F1-Trac」などの機構も踏襲されました。ホイール&タイヤはフロントが10J×20インチホイール+275/35RZ20タイヤ、リアが11.5J×20インチホイール+315/35ZR20タイヤの組み合わせで、前後ともF12ベルリネッタからワイド化されました。