かつて存在していた自動車メーカー、アメリカン・モーターズは、1974年にステーションワゴン型ボディを持つフルサイズの新型SUV「チェロキー」(SJ型)を発売しました。同社の主力モデルであった「ジープCJ-7」が軍用車両から発展したモデルであったのに対し、最初から民間用として開発されたため乗用車テイストの強いモデルとなっていました。
4輪リジッド式サスペンションを採用
ボディタイプは当初は3ドアのみの設定で、エクステリア・デザインは直線基調のスクエアかつ無骨なものでした。ボディサイズは全長4,660mm×全幅1,920mm×全高1,700mmで、全長と全幅はCJ-7よりも遥かに大きく、ホイールベースも400mm近く長い2,760mmに設定されていました。その一方で取り回しは改善され、ターニングサークルはCJ-7よりも1m小さい11.5mとなっていました。
サスペンション形式は、CJ-7同様の4輪リジッド・リーフ式が採用されました。エンジンは、当初4.2L直6OHV(最高出力112ps)、5.9L V8OHV(最高出力177ps)、6.6L V8OHV(最高出力198ps)の3種類が用意されました。トランスミッションは副変速機付き4速MTが標準で、オプションで副変速機を持たない3速トルコン式AT「ターボハイドラマティック」が用意されました。
駆動方式はMT車がパートタイム4WD、AT車がフルタイム4WDでした。また、ブレーキはフロントにディスク式、リアにドラム式が採用されました。グレード体系は、ベースグレードのほかに「S」「「ゴールデンホーク」「リミテッド」「クラシック」「スポーツ」「パイオニア」がラインナップされました。
ワイドボディ仕様を追加
その後1975年に、ワイドフェンダー・ワイドトレッド仕様として悪路走破性を向上させた新グレード「チーフ」が追加されました。次いで1977年に5ドアモデルがラインナップに加えられ、1978年には6.6L V8エンジンが廃止されました。続いて1979年、チーフをベースにイーグルデカールやゴールド塗装のホイール、デニム地のインテリアなどを採用した「ゴールデンイーグル」が追加されました。
さらに翌1980年には、最上級グレード「ラレド」が追加されました。次いで1981年、5.9Lエンジンの最高出力がドロップし157psとなりました。そして1983年にフルモデルチェンジが実施され、2代目XJ型に移行しました。初代SJ型チェロキーは、アメリカ本国のほかにメキシコやイギリス、オーストラリアなどでも販売されました。
また、アルゼンチンにおいてはカイザー・アルゼンティーナ社の手により「ジープ・グラディエーター」の車名でノックダウン生産が行われました。