光岡自動車は2006年10月、「ファッションスーパーカー」を謳う新型スポーツクーペ「オロチ(大蛇)」を発売しました。過去2度にわたり東京モーターショーに出展されたコンセプトモデルをベースに市販化に漕ぎ着けたもので、国内自動車メーカー各社のコンポーネンツを流用しながら、性能よりも扱い易さやムードを優先したモデルに仕上げられていました。
個性的なスタイリング
車体構造はスチール製スペースフレームとFRP製ボディの組み合わせで、生産は完全受注方式によりハンドメイドで行われました。ボディタイプはフィクスドヘッドのクーペのみの設定で、エクステリア・デザインはスーパーカーの法則の則ったプロポーションを守りながらも、他のどのモデルにも似ていな強烈な個性が備わっていました。
ボディ・ディメンションは全長4,560mm×全幅2,035mm×全高1,180mm、ホイールベース2,600mmで、車両重量は1,580kgでした。駆動方式はMRで、パワートレインは「レクサス・RX330」用の3.3L V6DOHCエンジン+5速トルコン式ATの組み合わせが採用されました。特にチューンナップは施されておらず、スペックは外観の割に控えめな最高出力233ps/最大トルク33.4kgmとなっていました。
サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーン式で、ブレーキは4輪ベンチレーテッド・ディスク式が装備されました。また、タイヤはフロントに245/45ZR18サイズ、リアに285/40ZR18サイズが装着されました。安全装備面では、SRSデュアルエアバッグシステムやABSが採用されました。
一方室内は、ミッドシップレイアウトゆえ2人乗りとなるものの、シート背後に手荷物置き場が設けられとともに、ボディ後部に狭いながらもトランクスペースが設けられるなど実用性にも配慮されていました。また、快適装備面ではフルオートエアコンやHDDナビゲーションシステム、CDプレーヤー付きオーディオシステム、本革巻きステアリングホイールなどが標準装備されました。
光岡 大蛇(オロチ)の解説動画
限定モデルが続々と登場
その後2008年1月に、装飾や装備を簡略化して大幅な価格引き下げを図った20台限定モデル「ゼロ」がリリースされました。追って同年12月には、専用ボディカラーや専用エアロパーツ、ステンレス製の4本出しマフラー、レザーシート&インテリアなどが備わる5台限定モデル「兜」がリリースされました。
次いで翌2009年12月、アメリカの楽器メーカーであるリッケンバッカー社とコラボレート、専用のウッドパネルやレザーシートなどが備わる5台限定モデル「リッケンバッカー」がリリースされました。さらに2010年6月には、専用エアロパーツやアルカンターラ・シート&ステアリングホイールなどが装備される20台限定モデル「ゴールドプレミアム」がリリースされました。
そして2014年4月、最終生産仕様の5台限定モデル「ファイナルオロチ」のリリースをもて生産終了となりました。