BMW車をベースとしたチューニングカーの生産で知られるドイツのアルピナ社は、1987年に3代目「BMW・5シリーズ(E34型)」をベースとしたハイパフォーマンスモデル「B10 3.4iビターボ」を発売しました。プラットフォームやボディシェルなどを5シリーズと共有しながらも、それよりもはるかに高い性能を持つモデルに仕立てられていました。
初代モデルは4WD車も用意
ボディタイプは当初は4ドアセダンのみの設定で、駆動方式はベースモデル同様のFRを踏襲、エンジンは3.4L直6ツインターボ(最高出力360ps)が搭載されました。そして翌1988年に、3.5L直6NAエンジン(最高出力254ps)を搭載する「3.5」が追加されました。次いで1993年、4L V8NAエンジン(最高出力316ps)搭載の「4.0」と、3L直6NAエンジン(最高出力231ps)搭載のフルタイム4WDモデル「3.0オールラッド」が追加されました。
同時に、3.4iビターボは廃止されました。さらにこの年、「BMW・5シリーズツーリング」をベースとした5ドアステーションワゴン版「B10ツーリング」がラインナップに加わりました。続いて翌1994年には、4.0に代わるモデルとして4.6L V8NAエンジン(最高出力340ps)を搭載する「4.6」がリリースされました。
フルモデルチェンジにより2代目に
そして1995年、5シリーズセダンのフルモデルチェンジにともないB10セダンが生産終了となり、1997年には遅れて5シリーズツーリングもフルモデルチェンジされたことにより、B10ツーリングも生産終了となりました。そして翌1998年、4代目5シリーズ(E39型)をベースとした2代目B10/B10ツーリングが発売されました。
ボディディメンションは、全長4,775mm(セダン)/4,805mm(ツーリング)×全幅1,800mm×全高1,415mm(セダン)/1,420mm(ツーリング)、ホイールベース2,830mmでした。ラインアップは、3.3L直6NAエンジン(最高出力280ps/最大トルク34.2kgm)搭載の「3.3i」と、4.6L V8NAエンジン(最高出力347ps/最大トルク49kgm)搭載の「4.6i」が用意されました。
駆動方式は全車FRで、トランスミッションは3.3iには5速MTまたは5速トルコン式ATが、4.6iにはステアリングにシフトスイッチが備わる5速トルコン式AT「スイッチトロニック」が組み合わせられました。パフォーマンスは、セダン4.6iが最高速度262km/h・0-100km/h加速6.3s、同3.3i・MT仕様が最高速度256km/h・0-100km/h加速6.7sでした。
その後2002年に、セダン/ツーリングに4.8L V8NAエンジン(最高出力375ps/最大トルク52kgm)+5速トルコン式ATを搭載する「4.8i」が追加されました。セダンのパフォーマンスは、最高速度284km/h・0-100km/h加速5.4sでした。そして2003年、5シリーズセダンのフルモデルチェンジにともないまずB10セダンが生産終了となり、追って2004年に5シリーズツーリングのフルモデルチェンジによりB10ツーリングも生産終了となりました。