1988年に初代モデルが発売されたスズキのSUV「エスクード」は、2015年10月に通算4代目となる新型が3代目モデルの弟分という形で国内デビューを飾りました。海外向けは「ビターラ」の車名で販売される事から示されるように、エスクードとはセグメントや基本設計の事なる別車種で、国内では3代目エスクードが「エスクード2.4」に改名された上で併売されます。
大幅に軽量化されたボディ
ボディは5ドアのみの設定で、スタイリングはエスクード2.4の基本フォルムを踏襲しつつ、Aピラー/Cピラーの傾斜が強められスマートさが付加されたものとなっています。ボディサイズは全長4,175mm×全幅1,775mm×全高1,610mmで、エスクード2.4よりもそれぞれ125mm×35mm×85mmコンパクトになっています。又、ホイールベースも140mm短い2,500mmとなります。
車両重量は1,140~1,210kgで、エスクード2.4から400kg以上軽量化されています。プラットフォームはクロスオーバーSUV「SX4 Sクロス」と共通で、古典的なラダーフレームを採用するエスクード2.4とは全く異なる構造となっています。サスペンション形式もSX4Sクロスと共通で、フロント:マクファーソンストラット式/リア:トーションビーム式を採用します。
駆動システムはFFベースに
駆動システムは、エスクード2.4がFRベースのフルタイム4WDであるのに対し、SX4Sクロス同様にFF及びFFベースのフルタイム4WDとなっています。4WD車のメカニズムは、SX-4Sクロスのものにリファインを加えた電子制御カップリング式4WDシステム「ALLGRIP」で、4つの走行モード切替機能が備わります。エンジンはSX-4Sクロスと同様、1.6L直4のM16A型が搭載されます。
スペックもSX-4Sクロスから変更はなく最高出力117ps/最大トルク15.4kgmとなる一方で、トランスミッションはCVTを採用するSX-4Sクロスとは異なり、新開発された6速トルコン式ATとの組み合わせになります。アイドリングストップ機構も備わり、JC08モード燃費はエスクード2.4を約70~80%上回る17.4~18.2km/Lとなっています。
安全装備が充実
室内は、質感に拘ったインパネが採用される他、パッケージング面にも配慮が行われ、エスクード2.4に遜色ない室内スペースが確保されています。装備面では、オートライトやオートワイパーに加え、ミリ波レーダー方式の衝突被害軽減ブレーキ「レーダーブレーキサポートⅡ」やアダプティブクルーズコントロールが標準装備され、安全性能が大幅に向上しています。
レーダーブレーキサポートⅡは改良が加えられた新バージョンが採用され、「ソリオ」に搭載されるものと比較して自動ブレーキの作動速度域が拡大された他、新機能として「前方衝突警報ブレーキ機能」が追加されています。グレード体系はグレード名なしのモノグレードで、FFと4WDの2種類のラインナップとなります。
歴代モデル エスクード 3代目 ’05-
新型(4代目)発売後もエスクード2.4として販売継続
1988年に初代モデルがデビューしたスズキのコンパクトSUV「エスクード」は、2005年5月のフルモデルチェンジにより3代目となる現行型になりました。フレーム構造や駆動方式、サスペンション形式など先代から多くの部分で仕様変更が行われ、本格クロスカントリー車としての性能を維持しながらも、オンロードでの快適性を併せ持つモダンなクロスオーバーモデルへと生まれ変わりました。
シャシー・ボディ構造を一新
スタイリングは、ボクシーで無骨なイメージだった先代から一転し、クロスオーバーSUVテイストに溢れる都会的なデザインに変貌しました。ボディのバリエーションは、先代に存在したロングボディの「グランドエスクード」は廃止され、5ドアショートボディに一本化されました。ボディサイズは全長4,390mm×全幅1,810mm×全高1,695mmで、全高を除き先代のショートボディから一回り以上拡大されました。
シャシー及びボディの構造は、先代のラダーフレーム式からラダーフレーム一体型モノコックボディに変わると共に、ホイールベースが大幅に延長され2,640mmになりました。ボディの拡大に伴い、車両重量も大幅に増加し1,530kg~1,620kgとなりました。サスペンション形式は、フロントのマクファーソンストラット式は先代と同一ながら、リアは5リンク・リジッド式からマルチリンク独立懸架式に改められました。
4WD方式をフルタイムに変更
エンジンは、「2.0XE」「2.0XG」には先代から踏襲する2L直4のJ20A型(最高出力145ps/6,000rpm、最大トルク19.7kgm/4,000rpm)が、「2.7XS」には先代の2.5L V6のH25A型に替わり2.7L V6のH27A型(最高出力184ps/6,000rpm、最大トルク25.5kgm/4,500rpm)が搭載され、トランスミッションはJ20A型が5速MTと4速トルコン式AT、H27A型が5速トルコン式ATとの組み合わせとなり、いずれも先代同様副変速機が備わります。
駆動方式は、先代のパートタイム方式に対し、LSD付センターデフ式フルタイム4WD方式に変更されました。そして2006年6月、3ドアショートボディに1.6L直4のM16A型エンジン(最高出力106ps/5,900rpm、最大トルク14.8kgm/4,100rpm)+5速MTのパワートレインを搭載する新グレード「1.6XC」が追加されました。全長が440mm、ホイールベースが200mm短縮され車両重量が1,420kgと軽くなる他、副変速機が省略されました。
M/Cによりパワートレインを刷新
次いで2007年5月、2.7L車に廉価グレード「2.7XG」が追加され、「1.6XC」はカタログ落ちしました。そして2008年6月、マイナーチェンジを実施しフェイスリフトを行うと同時に、エンジンが全面的に刷新されました。直4車は、ロータリーバルブ式可変吸気システムとバランサーシャフトを採用した2.4LのJ24B型(最高出力166ps/6,000rpm、最大トルク22.9kgm/4,000rpm)に置換され、グレード名が「2.4XE」「2.4XG」に変更されました。
又、V6車は3.2LのN32A型(最高出力224ps/6,200rpm、最大トルク29kgm/3,500rpm)に置換され、グレード名が「3.2XS」に変更されました。その他、全車に伝達振動を軽減した「スライド可能式等速ジョイント」を採用した他、「3.2XS」にミリ波レーダーによる衝突被害軽減ブレーキ「プリクラッシュセーフティーシステム」やアクティブクルーズコントロールシステムがオプション設定されました。
その翌年の2009年6月、3.2L車が廃止され、グレードが2.4Lエンジン搭載の「XG」に一本化されました。そして2012年7月、2度目のマイナーチェンジを実施し、フェイスリフトによりフロントマスクがアグレッシブなデザインに変更されると共に、バックドアのスペアタイヤが廃止され、より都会的なイメージに変貌しました。次いで2014年8月、仕様変更により全車に横滑り防止装置「ESP」が標準装備されました。