BMWの「6シリーズ」は、1976年にラグジュアリーなクーペとして初代モデルがデビュー、2003年に登場した2代目モデルにはカブリオレが追加されました。そして2010年に3代目となる現行型にフルモデルチェンジし、日本ではまず2011年2月にカブリオレが、次いで8月にクーペが発売されました。共にパワートレイン刷新により動力性能・燃費が向上した他、装備の充実が図られました。
ボディを拡大しエンジンを刷新
スタイリングは先代からのキープコンセプトで、カブリオレは先代同様のソフトトップを踏襲しました。その一方で、共にキドニーグリルの大型化やLEDランプの採用などによりリフレッシュが図られました。ボディサイズは全長4,895mm×全幅1,895mm×全高1,370mm(クーペ)/1,365mm(カブリオレ)で、先代よりも一回り拡大され、ホイールベースも75mm延長され2,855mmとなりました。
車両重量はクーペが1,800~1,920kgで先代から大幅に増加、カブリオレも1,930~2,070kgでグレードによっては先代から増加しました。サスペンション形式は、先代同様の前:ダブルウィッシュボーン式/後:インテグラルアーム式で、駆動方式は全車FRとなります。搭載されるエンジンはNAだった先代に対し全車ターボ化され、パワーアップが図られました。
発売当初日本に導入されたエンジン及びグレードは、クーペ/カブリオレ共に3L直6ターボ(最高出力320ps/最大トルク45.9kgm)の「640i」と、4.4L V8ツインターボ(最高出力407ps/最大トルク61.2kgm)の「650i」の2種類で、前者は5シリーズの同一グレードより14ps/5.1kgmアップ、後者は同一のスペックでした。トランスミッションは、全車8速トルコン式ATが採用されました。
又、全車にブレーキエネルギー回生システム「マイクロハイブリッド」を搭載し燃費を改善した他、後輪操舵システムを採用した「インテグレイテッド・アクティブ・ステアリング」や、走行モード切替システム「ダイミック・ドライビング・コントロール」が標準装備されました。更に「650i」には、電子制御ダンパーとスタビライザーを統合制御する「アダプティブドライブ」も装備されました。
V8エンジンをリニューアル、安全装備が充実
そして2012年8月に一部改良を実施し、「650i」の4.4L V8ターボエンジンが新世代の物に置換され、スペックが最高出力450ps/最大トルク66.3kgmに向上すると共に、アイドリングストップ機構やエコ運転に貢献する「ECO PROモード」の採用により、燃費が約20~25%向上しました。同時に、「640i」に「USBオーディオ・インターフェイス」と「スピーチコントロール」が装備されました。
続いて2013年8月の一部改良で、「前車接近警告機能」「衝突回避・被害軽減ブレーキ」「レーンディパーチャーウォーニング」から構成される「ドライビングアシストプラス」が全車に標準装備されました。更に9月には、オプションの「Mスポーツパッケージ」やマルチディスプレイメーターパネルなどを標準で備える「Mスポーツエディション」が追加されました。
次いで2014年5月に行われた一部改良では、全車にタッチパッド付「iDrive」が装備された他、「650i」に車線変更をアシストする「レーンチェンジウォーニング」と、「アクティブクルーズコントロール」が標準装備されました。そして2015年6月の一部改良で、フェイスリフトと共に新グレード「Mスポーツ」を設定、更に「640i」にも「レーンチェンジウォーニング」が装備されるなどの仕様変更が行われました。