日産のコンパクトセダン「ラティオ」は、2004年に発売された「ティーダラティオ」の後継モデルとして、2012年10月に国内販売が開始されました。シニア層をメインターゲットとして上質感のあるスタイルや後席の居住性に拘った他、パワートレインの刷新により燃費の改善も図られました。生産はタイの工場で行われ、世界各国に輸出されるグローバルカーとなっています。
ボディを大幅に軽量化
スタイリングは、押し出しの効いたフロントマスクやファーストバックの流麗なフォルムが備わるなど、存在感や上質感を重視したデザイン処理が行われています。ボディサイズは全長4,425mm×全幅1,695mm×全高1,495mmで、ティーダラティオと比較すると5mm短く40mm低いディメンションに変化しています。ホイールベースは同一の2,600mmで、車両重量は90kg以上軽い1,030~1,040kgとなっています。
サスペンション形式は、ティーダラティオと同様のフロント:ストラット式/リア:トーションビーム式を踏襲し、駆動方式は従来設定のあったフルタイム4WDが廃止され、FFのみとなっています。搭載されるエンジンは、ティーダラティオの1.5L直4のHR15DE型に代り、「マーチ」や「ノート」にも搭載される1.2L直3のHR12DE型(最高出力79ps/6,000rpm・最大トルク10.8kgm/4,400rpm)に変更されました。
燃費が大幅に向上し、後席スペースが拡大
ダウンサイジングに伴いスペックは従来から30ps/4.3kgm低下したものの、副変速機付「エクストロニックCVT」やアイドリングストップ機構の採用と相まって、JC08モード燃費は4.6km/Lアップの22.6km/Lに向上しました。室内面では、アッパーミドルセダン「ティアナ」に匹敵する後席スペースを実現した他、トランクスペースもティーダラティオから拡大されています。
発売当初のグレード体系は、法人向けグレード「B」と一般ユーザー向けエントリーグレード「S」、ファインビジョンメーターなどが備わる中間グレード「X」、フルオートエアコンやエンジンイモビライザーなどが備わる上級グレード「G」の4種類がラインナップされました。安全装備としては、電子制御制動力分配システム「EBD」が全グレードに標準装備されました。
そして2014年10月にマイナーチェンジを実施し、内外装の変更と共に装備の充実が図られました。エクステリアはフロントマスクやボンネットフード、リアバンパーの意匠が変更され、インテリアはインパネ・センタークラスターのデザインやシートクロスが変更されました。装備面では、横滑り防止装置「VDC」やUVカットグリーンガラス採用のフロントドアガラスが標準化されました。同時に、廉価グレード「B」は廃止されました。